日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
栽培ヒラタケに腐敗病を起こす日本産Pseudomonas tolaasiiの産生する毒素とその生物活性
白田 昭菅谷 和寿高杉 光雄門出 健次
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 61 巻 5 号 p. 493-502

詳細
抄録

新潟県下の栽培ヒラタケの黄褐変腐敗症を示す病斑部から病原細菌を分離し,Pseudomonas tolaasii Paineと同定した。本細菌はヒラタケのほかエノキタケやマッシュルームなど数種のキノコに病原性を示した。また,培養ろ液は,キノコに対して病斑類似斑を形成し,植物に対しては毒性を示し,微生物の増殖を阻害した。本毒素に高度感受性を示したエノキタケ,ジャガイモ切片,P. syringae pv. coronafaciensは,毒素の簡易検出や活性測定に有用であった。毒素を得る目的で,菌株,培地,温度,培養日数と毒素生産性との関係を調べ,それぞれにおける生産最適条件を明らかにした。また,Adsorbex RP-18カートリッジを用いた簡便な毒素の単離法を確立した。本法によって8種の毒素を単離するとともに,毒素4および6をそれぞれtolaasin IおよびIIと同定した。主毒素である4は,ヒラタケ,エノキタケ,ジャガイモ切片にそれぞれ125, 16,4ppmの濃度で褐変を誘導した。毒素4は植物病原微生物にも抗菌活性を示したが,その程度は微生物の種によって異なった。感受性は一般に細菌より糸状菌で高く,生育阻害最小濃度は前者で16&500ppm,後者で4&16ppmであった。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top