日本植物病理学会報
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61 巻, 5 号
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  • 景山 幸二, 上村 順子, 百町 満朗
    1995 年 61 巻 5 号 p. 415-418
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アブラナ科野菜根こぶ病菌の単一の休眠胞子を感受性宿主に接種することにより発病させる簡便な技術を開発した。0.5μl当たり1個,すなわち1ml当たり2000個の濃度になるように調整した休眠胞子懸濁液をマイクロピペットで0.5μl取り,殺菌したカバーグラス上に滴下した。この液の中に1個の休眠胞子が含まれることを倒立顕微鏡で確かめ,カバーグラスを高圧蒸気滅菌した育苗培養土上に置き,2日間催芽させたハクサイの苗を液に接するようた載せて軽く覆土し,人工気象器内で栽培した。この方法により高率に根こぶを形成させることができた。欧州判別品種を用いて単一休眠胞子由来株とその元株で病原性を比較したところ,両者が異なる場合があることが認められた。
  • 對馬 誠也, 内藤 秀樹, 小板橋 基夫
    1995 年 61 巻 5 号 p. 419-424
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネもみ枯細菌病の簡易な圃場の発病調査法を用いて発病度と重症穂数との関係を調べた。発病調査法として,系統抽出法による標本数の検討を行った。調査圃場毎に5000株(50畝×100株)調査区を設け,その中からランダムに抽出した1000株の発病株率(FDP)と発病度(FDI)を求めた。これらの値と系統抽出標本より求めた値を比較した結果,標本数が80本以上でいずれも高い相関(γ2=0.92以上)が認められた。そこで,本試験では,系統抽出による100株の値から発病度を求めることとした。本発病度と収量との間には高い負の相関(γ2=0.92)があり,本発病度調査法は簡易なうえに減収の正確な推定も可能と考えられた。62圃場について,任意に設けた5000株調査区の発病度と出穂期後5∼7日以内の重症穂数との関係を調べた。圃場が比較的近くに位置し,出穂期がほぼ同時期の圃場群(I∼IV群,計44圃場)では,圃場群間で平均発病度は3.46, 11.00, 10.67および9.38と異なっていたが,いずれの圃場群でも重症穂数が多くなるに従い発病度が大きくなった。本調査の結果から,出穂期後5∼7日目に発生した重症穂の多少がその後の発病程度に顕著に影響していることが示唆された。また,圃場位置,出穂期が大きく異なる圃場群(V群)を含む全圃場(62圃場)において,重症穂が3本以下の圃場(31圃場)では,顕著に発病度が低かった。以上から,出穂期直後に発生した重症穂が本病の二次的拡大に大きく影響していること,さらに重症穂数による被害予測の可能性が示された。
  • 被害実態,病原菌および接種試験
    阿部 恭久, 小林 享夫, 大貫 正俊, 服部 力, 鶴町 昌市
    1995 年 61 巻 5 号 p. 425-433
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    沖縄県石垣島の熱帯農業センター沖縄支所(現:国際農林水産業研究センター沖縄支所)の耕地防風林にイヌマキ,モクマオウ,テリハボク等の樹木の萎凋・枯損被害が発生した。1988年11∼12月に現地調査を行った結果,枯損・萎凋は43地点で発生し,枯損・萎凋木の総計は211本,被害部分の延べ長は515mで,防風林の総延長の11.2%を占めていた。被害木の根株を掘り起こし菌株の分離培養を行うと,ほとんどの被害木から同一の培養的性質を有する菌株が分離された。本菌をイヌマキ苗木の根に接種すると19本中9本が13ヵ月以内に枯死し,枯死した苗木からは本菌が再分離された。培養的性質から本菌が菌蕈類に属することが推定されたので,防風林内外の枯損木・伐根上に発生していた菌蕈類の子実体から菌株を分離培養した。それらの子実体の一つから分離された菌株の性質が,被害木から分離された菌株の性質と一致し,その子実体はPhellinus noxiusと同定された。一方,安田が1916年に小笠原からFomes lamaensis(シマサルノコシカケ)として報告した菌は,Ph. noxiusであることが判明した。沢田は1934年にPh. noxiusを「キコロシサルノコシカケ」として台湾から報告しているが,安田の命名が早いので病原菌の和名は「シマサルノコシカケ」を採用し,病名として「南根腐病」を提案した。また,Ph. noxiusよりも先名権があるとされていた種Ph. sublamaensisの基準標本を検討した結果,その標本はPh. lamaensisであることが判明したため,病原菌の学名としてはPhellinus noxiusを採用する。
  • 横沢 菱三, 国永 史朗, 佐久嶋 明世, 関崎 春雄
    1995 年 61 巻 5 号 p. 434-438
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Aphanomyces euteiches Drechslerはcorn meal broth (CMB)で卵胞子を旺盛に形成するが,nutrient broth (NB)では全く形成しない。CMB培養菌体抽出物をNB培養菌体に与えると卵胞子形成が誘導されることを利用し,CMB培養菌体中の卵胞子形成誘導物質を調べた。分離と分析の結果,CMB培養菌体中の無機成分が卵胞子形成を誘導した。この無機成分中に含まれる元素を分析し,それらの元素の組合せから生じる無機化合物の卵胞子形成の誘導を調べると,CaCO3, CaCl2およびCaOのみにその効果が見られた。このことからCa2+が卵胞子形成を誘導すると考えられた。CMBとNBのCa2+濃度は,それぞれ1.3×10-4M, 8.4×10-6Mであった。Ca2+を含む8種類の無機化合物を種々の濃度でNB培養菌体に与えると,いずれの化合物も卵胞子形成を誘導した。この中でCaCl2が最も作用が強く,10-4Mが卵胞子形成の誘導に最適な濃度であった。キレート剤の種々の量をCMBに加えて,有効なCa2+を減じると,Ca2+の濃度が7×10-5Mより低いと卵胞子の形成は認められなかった。これらのことから,A. euteichesの卵胞子形成にはCa2+が不可欠であることが示された。
  • 高橋 恭一, 渡部 賢司, 佐藤 守
    1995 年 61 巻 5 号 p. 439-443
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    クワおよびクワノメイガにおける氷核活性細菌の生存およびその生息密度について調べた。クワ葉面ではPseudomonas syringaeErwinia herbicola群細菌が優勢フローラであった。一方,クワノメイガではE. herbicola群細菌は大部分の幼虫個体から分離されたが,P. syringaeはいくつかの個体のみから検出された。クワ由来のP. syringae菌株中の氷核活性細菌の割合は,非常に高く,48.1%を示したのに対して,E. herbicola群細菌では低く,0.5%であった。これら2群の細菌は,それぞれP. syringae pv. moriE. ananasと同定された。後者はクワの氷核活性細菌としては初めての記載である。また,両氷核活性細菌は,クワノメイガからも初めて見い出された。さらに,野外で凍霜害を受けたクワの芽葉中の氷核活性細菌の生存を調べ,これら細菌とクワの凍霜害との関係を論じた。
  • 田中 伸和, 高尾 実里, 山下 恵子
    1995 年 61 巻 5 号 p. 444-450
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    植物形質転換用ベクターが導入されたAgrobacterium属細菌を選抜するのに,どのような抗生物質が利用できるかを調べるため,培養液をPDA培地上で段階的に希釈し,細菌の抗生物質耐性を評価する方法を考案した。本法を用いて,主として日本で分離されたAgrobacterium属細菌の46菌株について,ampicillin, carbenicillin, chloramphenicol, kanamycin, rifampicin, streptomycin, tetracycline, vancomycinの8つの抗生物質に対する耐性を調べた。その結果,全ての菌株がtetracyclineに対して感受性を示した。また,ほとんど全ての菌株は,ampicillinならびにkanamycinに対して強い耐性を示し,rifampicinに対しては感受性もしくは弱い耐性を示した。biovar 1に属する大部分の菌株は,vancomycinに対して強い耐性を示したが,biovar 2に属するほとんどの菌株はcarbenicillinに対して強い耐性を示す反面,vancomycinに対しては感受性もしくは弱い耐性を示した。一方,同一biovarに属す各々の菌株は,chloramphenicolおよびstreptomycinには,多様な耐性程度を示すことが分かった。以上より,本研究で調べたAgrobacterium属細菌では,tetracyclineが植物形質転換用ベクターの最良の選択マーカーであることが分かった。また,抗生物質耐性についての検定結果は,Agrobacterium属細菌の補助的な分類手段として利用できる可能性が示唆された。
  • 中島 一雄, 林隆 治
    1995 年 61 巻 5 号 p. 451-455
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネおよびツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)体内におけるイネ黄萎病ファイトプラズマDNAの増殖と分布を,DNAプローブを用いたドットハイブリダイゼーションにより調べた。イネ体内においては,ファイトプラズマ感染虫を用いて3日間吸汁接種した後,20日目にはファイトプラズマのDNAが検出された。ファイトプラズマDNA量は30日後から急速に増加し,40日後から80日後まで同程度のレベルであった。組織内ファイトプラズマ量と黄化症状の激しさの間の相関関係は認められなかった。ツマグロヨコバイ体内においては,3日間獲得吸汁させてから10日後にはファイトプラズマDNAが検出され,30∼40日後に,その量は急増した。虫体内では,ファイトプラズマ感染25日後には主に腹部および胸部から,50日後には主に頭部からファイトプラズマのDNAが検出された。
  • 中島 一雄, 林 隆治
    1995 年 61 巻 5 号 p. 456-462
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ黄萎病(RYD)ファイトプラズマとサトウキビ白葉病(SCWL)ファイトプラズマは,染色体外DNAを持つことが明らかになっている。ショ糖密度勾配遠心により,RYDファイトプラズマの染色体外DNAプローブとハイブリダイズするRYDファイトプラズマ低分子DNAを分離した。得られたDNAを,電子顕微鏡を用いて観察することにより,RYDファイトプラズマの染色体外DNAは,長さが約3.8kbの環状および線状のDNAから成ることが示された。インバースPCR法により,SCWLファイトプラズマの染色体外DNAは,植物体内で環状の形態をとることが示され,長さは約2.7kbと推定された。RYDファイトプラズマの染色体外DNAのHindIII分解物とSCWLファイトプラズマの染色体外DNAのHindIII-EcoRI分解物は,1枚のフィールドから採集した株の間でも多型を示した。ハイブリダイゼーション実験により,RYDファイトプラズマの染色体外DNAとSCWLファイトプラズマの染色体外DNAの間で,塩基配列の相同性は極めて高いが,それらとゴマフィロディーファイトプラズマやアスターイエローズタイプのファイトプラズマの染色体外DNAとの相同性は低いことが示された。
  • 佐藤 章夫
    1995 年 61 巻 5 号 p. 463-469
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病菌遊走子のうの遊走子形成過程における原形質の分割と浸透圧の関係を調べた。遊走子のうの懸濁液は希薄な無機イオン水で調製し,浸透圧は一連の濃度の蔗糖溶液に1時間インキュベートした時の原形質分離の有無で測定した。懸濁液は遊走子のうを成熟させるために予め22.5°Cに6時間インキュベートし,その後,遊走子のうが遊走子を放出する直前の状態になるように14°C, 15分の低温処理を行った。低温処理前の遊走子のうの浸透圧は平均0.70OsMで,原形質分離を起こした原形質は周円形となり,未分割であることを示した。低温処理後の遊走子のうの浸透圧は0.1OsM以下で,原形質分離を起こした原形質はブドウの房状となり,遊走子に分割されていることを示した。すなわち原形質の分割は浸透圧の急激な低下を伴った。したがって,乳頭突起の開口と遊走子の放出が内圧の増加によって起こるとした従来の仮説は誤りであると考えられた。また,糖類やポリエチレングリコールの高張液による間接発芽抑制効果を調べた。発芽抑制効果は分子の大きいものほど大きく,完全に抑制する濃度はキシロースでは0.7M, PEG4000では0.05Mであった。したがって,これらの化合物による発芽抑制は溶液の高い浸透圧ではなく,溶液の高い粘性による可能性が示唆された。
  • 飯山 和弘, 古屋 成人, 高浪 洋一, 松山 宣明
    1995 年 61 巻 5 号 p. 470-476
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネもみ枯細菌病菌の産生する毒素と本菌のイネに対する病原力との関連性について調べた。その結果,毒素産生性株25株は3菌株を除いてすべてイネの育成を阻害したのに対して,毒素非産生株はすべて阻害しなかった。本毒素は10μg/mlの濃度でイネ幼苗の生育を完全に阻害した。また開花期のイネ穂を本毒素で処理すると,もみに本病特有の病徴である褐色帯条斑の形成が認められた。本毒素は本菌に感染したイネからも検出された。これらの結果から本菌の産生する毒素は本病の病原力に密接に関与しているものと推察された。
  • 児玉 基一朗, 尾谷 浩, 甲元 啓介
    1995 年 61 巻 5 号 p. 477-480
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマト・アルターナリア茎枯病菌が生成する宿主特異的毒素(AL毒素)の蛍光プレカラム誘導体化と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による検出・定量法について検討した。発蛍光試薬としては,o-フタルアルデヒドとメルカプトエタノール,および4-fluoro-7-nitrobenzofurazanを用いた。毒素を誘導体化反応後,逆相HPLCによって分析した結果,蛍光化毒素は明確なピークを示し,検出限界は約1ngであった。本法は,従来のマレイン酸誘導体によるUV検出法と比較して,簡便かつ高感度であるという利点を持つ。病原菌培養時および胞子発芽時における毒素生成について本法を用いて検討を行った。
  • 佐橋 憲生, 中村 仁, 吉川 信幸, 窪野 高徳, 庄司 次男, 高橋 壮
    1995 年 61 巻 5 号 p. 481-484
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キリてんぐ巣病の実用的な診断法を開発するために,感染樹体内におけるファイトプラズマの分布と季節的消長をPCR法を用いて調査した。ファイトプラズマは花芽の奇形を呈した枝の樹皮において,5∼6月から10月まで効率よく検出されたが,枝の違いにより季節的消長が認められた。奇形花芽が現れない枝の組織からの検出頻度はきわめて低く,10月になってはじめて高率に検出された。すなわち,ファイトプラズマは同一感染樹体内でも枝と枝の間でその検出頻度が異なり,不均一に分布していることが明らかとなった。これらの結果から,正確な診断を行うためには1被験樹あたり少なくとも数本の枝を選んで試料を採取する必要があること,試料採取時期として秋が適していることが明らかとなった。
  • 堀田 光生, 土屋 健一, 加来 久敏, 平八重 一之, 日比 忠明
    1995 年 61 巻 5 号 p. 485-488
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    フィリピン産イネ白葉枯病菌PXO61株(レース1)およびPXO63-6株(レース2)からニトロソグアニジン処理によって誘発された各種病原性変異株について,イネ白葉枯病菌由来の高頻度反復配列を含むプラスミドpJEL101をプローブとしてRFLP解析を行い,親株および他レース(1∼5)との比較を行った。その結果,2つの親株に由来する病原性喪失変異株,病原力低下変異株および色素非産生変異株は,それぞれ親株と概ね相同のRFLPパターンを示した。これに対し,PXO61株に由来するレース変異株(1→2)のRFLPパターンは親株を含むレース1に属する他の菌株とは明らかに異なり,レース2に属する多数のフィリピン産菌株の示すパターンとほぼ相同であった。以上の結果から,フィリピン産イネ白葉枯病菌のレース2群菌の中には,突然変異によりレース1群菌から分化したものが含まれることが推察された。また,同プローブを用いたRFLP解析は本細菌の野生株のみならず誘発突然変異株のレース判定においても適用可能であることが示唆された。
  • 中島 雅己, 山下 修一, 瀧川 雄一, 露無 慎二, 日比 忠明, 後藤 正夫
    1995 年 61 巻 5 号 p. 489-492
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツかいよう病菌Pseudomonas syringae pv. actinidiae Pa429株の銅耐性プラスミドpPaCu1上に存在するストレプトマイシン耐性遺伝子を含むHindIII-EcoRV断片(1.9kbp)を,pBluescript II KS(+)にクローニングし,RSF1010のストレプトマイシン耐性遺伝子strAおよびstrBを含むプラスミドpRSF-2と制限酵素地図を比較するとともに,サザンハイブリダイゼーションによる相同性解析を行った。その結果,pPaCu1のHindIII-EcoRV断片中にstrAおよびstrBと相同な配列が保持されていることが明らかとなった。
  • 白田 昭, 菅谷 和寿, 高杉 光雄, 門出 健次
    1995 年 61 巻 5 号 p. 493-502
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    新潟県下の栽培ヒラタケの黄褐変腐敗症を示す病斑部から病原細菌を分離し,Pseudomonas tolaasii Paineと同定した。本細菌はヒラタケのほかエノキタケやマッシュルームなど数種のキノコに病原性を示した。また,培養ろ液は,キノコに対して病斑類似斑を形成し,植物に対しては毒性を示し,微生物の増殖を阻害した。本毒素に高度感受性を示したエノキタケ,ジャガイモ切片,P. syringae pv. coronafaciensは,毒素の簡易検出や活性測定に有用であった。毒素を得る目的で,菌株,培地,温度,培養日数と毒素生産性との関係を調べ,それぞれにおける生産最適条件を明らかにした。また,Adsorbex RP-18カートリッジを用いた簡便な毒素の単離法を確立した。本法によって8種の毒素を単離するとともに,毒素4および6をそれぞれtolaasin IおよびIIと同定した。主毒素である4は,ヒラタケ,エノキタケ,ジャガイモ切片にそれぞれ125, 16,4ppmの濃度で褐変を誘導した。毒素4は植物病原微生物にも抗菌活性を示したが,その程度は微生物の種によって異なった。感受性は一般に細菌より糸状菌で高く,生育阻害最小濃度は前者で16&500ppm,後者で4&16ppmであった。
  • 窪田 昌春, 手塚 信夫, 我孫子 和雄, 石井 正義
    1995 年 61 巻 5 号 p. 503-506
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A stem rot of broccoli caused by a species of Pythium was found at Tsu city, Mie Prefecture in October 1993. The infected stems appeared white rot with aqueous edge. The morphology of sexual organs made by the isolate closely fits van der Plaats-Niterink's description of Pythium ultimum Trow var. ultimum. The isolate was pathogenic to seedlings of many crop species. This is the first report on stem rot of broccoli caused by Pythium ultimum Trow var. ultimum in Japan.
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