日本植物病理学会報
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花弁の斑入りを示すミヤコワスレから分離されたキクBウイルスの一系統
Gede SUASTIKA栗原 潤夏秋 啓子都丸 敬一
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1997 年 63 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
葉の斑紋と花弁の斑入りを示すミヤコワスレ(Gymnaster savatieri (Makino) Kitamura)から1ウイルス(M)が分離された。本ウイルスは汁液接種によって,ヒャクニチソウ,ムギワラギク,ペチュニア, Nicotiana benthamiana, N. clevelandii,およびN. occidentalisに全身感染し, Chenopodium amaranti-color, C. quinoa,ゴマおよびツルナに接種葉の局部病斑のみを現した。また,茎長培養による健全ミヤコワスレに原株と同様な病徴を示した。ウイルス粒子は680×13nmの屈曲の少ない糸状で,電気泳動による解析では,外被タンパク質は3.4×104,核酸は2.4×106の分子量を示した。精製ウイルスを家兎に免疫し, ELISA法で力価105を示す抗血清を作製した。また,本ウイルスはELISA法および免疫電子顕微鏡法によって,キクBウイルス(CVB-J),ハルジオン分離株(E)の各抗血清と陽性反応を,ジャガイモSウイルスの抗血清とは弱い陽性反応を示した。以上から本ウイルスはキクBウイルスの一系統(CVB-M)と同定された。CVB-Mはミヤコワスレに広く発生分布しているものと思われる。
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