抄録
青枯病抵抗性トマト台木品種LS-89と感受性品種ポンデローザの植物体内における青枯病菌の分布と増殖を調べた。30°Cのグロースチャンバー内で断根した30日苗を青枯病菌8107S懸濁液(107cfu/ml)に浸漬し接種した。ポンデローザでは接種14日目のすべての主根,茎部の試料から病原細菌が検出された。根部,茎部の青枯病菌密度は接種10日目には生重量1g当たり108あるいは109個に増加した。一方,接種したLS-89は無病徴感染し,接種14日目の主根と胚軸上部での青枯病菌の検出率は90%以上であった。茎からの検出率は第1-2葉間の茎部で約80%であり上位の茎部にいくに従い低下した(第5-6葉間の茎部で30%)。青枯病菌密度は接種4日目に主根,胚軸上部および第1-2葉間の茎部において生重量1g当たり106個まで増殖したが,その後は一定であった。胚軸上部の横断面の光顕観察により,青枯病菌はポンデローザの一次および二次木部組織に広く認められたが, LS-89では一次木部組織の一部のみに分布していた。以上の結果,抵抗性LS-89では青枯病菌の一次木部組織での局在化と植物体内での移行抑制が認められた。