ガラス室内の自然光下で紫外線(UV-B: 290-320nm)付加照射を行い,
Fusarium oxysporum f. sp.
spinaciae (F.o.s.) によるホウレンソウ萎ちょう病の発生に及ぼす影響を調査した。
F.o.s.接種土壌では,紫外線付加照射によってホウレンソウ萎ちょう病が誘発され,病原菌の接種濃度が低い方が紫外線付加照射による発病率の増加が大きくなった。また,ホウレンソウ胚軸に
F.o.s.を針接種し,接種直後に紫外線付加照射を開始したところ,土壌接種の場合と同様に紫外線付加照射によって萎ちょう病の発病の誘発が顕著に増加した。土壌接種実験および針接種実験の両実験で,すべての立枯個体および一部の無病徴個体の根部から接種菌が再分離され,接種区で栽培したホウレンソウが
F.o.s.を保菌していた割合は,紫外線付加照射区,無照射区とも実験終了時には80%以上となった。しかし,針接種実験で保菌率を経時的に調査したところ,紫外線付加照射開始後3日目ですでに保菌率に差が認められた。以上の結果から,紫外線(UV-B)の付加照射は,ホウレンソウ根内におけるFusariumの伸展を促進する可能性があるとともに,ホウレンソウ萎ちょう病の発生を顕著に誘発することが明らかになった。
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