日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
16S-23SリボゾームDNAスペーサー領域の塩基配列を利用したBurkholderia plantariiおよびB. glumaeの特異的検出
竹内 徹澤田 宏之鈴木 文彦松田 泉
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 63 巻 6 号 p. 455-462

詳細
抄録

イネ苗立枯細菌病菌Burkholderia plantariiおよびイネもみ枯細菌病菌B. glumaeに対して,特異的なPCRを利用した迅速で高感度な特異的検出法を開発した。B. Plantarii, B. glumae, B. gladioli, B. cepacia, B. caryophylli, B. andropogonis, B. solanacearamおよびPseudomonas corrugataについて, 16Sおよび23SリボゾームRNA遺伝子間に存在するスペーサー領域の全塩基配列を比較解析した。地理的由来の異なる菌株において同種内では, B. Plantariiでは93%以上の相同性を示し, B. glumaeでは種内変異は認められなかった。Burkholderia属細菌の種間では60~90%の相同性を, Burkholderia属細菌とP. corrugata, P. fluorescensまたはEscherichia coliとの間では59%以下の相同性を,それぞれ示した。以上の結果から,本領域は同種内では保存性が高く,異種間では変異が大きいことが明らかとなった。B. plantarii, B. glumaeおよびB. gladioliは互いに比較的高い相同性(81~90%)を示したことから,これら3種の塩基配列を比較して,種内で保存性が高く,かつ種間で変異性の高い配列から種特異的なプライマーを設計した。プライマーPL-12f (5'-AGCCAGTCAGAGGATAAGTC-3')とPL-11r (5'-CAATTGAGCCGAACATTTAAG-3')によるPCRでは, B. plantarii供試45菌株すべてから約180bpのDNA断片の増幅が認められたが,他の細菌では認められなかった。プライマーGL-13f (5'-ACACGGAACACCTGGGTA-3')およびGL-14r (5'-TCGCTCTCCCGAAGAGAT-3')によるPCRでは, B.glumae供試20菌株すべてから約400bpのDNA断片の増幅が認められたが,他の細菌では認められなかった。また,特異プライマーを利用したPCRによって,それぞれの病原細菌が感染したイネ苗から両菌を6時間以内で検出でき,本法がイネ組織内における両菌の迅速検出に有効であることが示された。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top