日本植物病理学会報
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Fusarium oxysporumの植物組織中におけるエンドポリガラクツロナーゼの分泌の免疫学的観察と本酵素をコードする遺伝子の単離
有江 力Satyanarayana GOUTHU島崎 聡鎌倉 高志木村 真井上 美津子瀧尾 擴士尾崎 明米山 勝美山口 勇
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1998 年 64 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

土壌病原糸状菌Fusarium oxysporumの産生するエンドポリガラクツロナーゼ(PG)は,病徴発現において重要な役割を果たすといわれている。精製したトマト萎凋病菌(F. oxysporum f. sp. lycopersici race 2)由来のPGタンパク質を抗原としてポリクローナル抗体APG1を作製し,これを用いてdirect tissue-immunobinding assay (DT-IBA)法により,寄主植物の茎中でF. oxysporum f. sp. lycopersiciがPGを産生していることを認めた。また,PGタンパク質のアミノ酸解析により得られた部分アミノ酸配列情報をもとにプライマーをデザインし,PCRとTAIL-PCRにより,PGをコードする遺伝子の全長を含む1783bpの塩基配列を決定した。PG遺伝子は,47, 51, 50, 54bpの4つのイントロンを含む1318bpのコード領域からなり,371アミノ酸残基をコードし,このうち,22残基はシグナルペプチドであることが推測された。アミノ酸レベルで,F. moniliforme PG, Cochliobolus carbonum PGNI, Aspergillus niger PG, A. oryzae PGおよびSclerotinia sclerotiorum PGIとそれぞれ,82.9%, 29.0%, 27.6%, 14.2%, 26.9%の相同性を示した。

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