日本およびアメリカで分離されたスズメノカタビラに萎ちょう症状を引き起こす
Xanthomonas campestris pv.
poaeのうち任意に選抜した9菌株と
X. c. pv.
poaeの標準菌株であるATCC33804株を用いて,9種23系統の
Poa属植物に対する病原性を,(1)病気を引き起こすか,(2)植物内で増殖・移行できるか,(3)宿主植物の病徴はどのようなものか,という3項目について調査した。剪葉接種法により接種試験を行ったところ,すべての菌株はすべての供試植物の接種部位において増殖したが,地際部での細菌の増殖にはそれぞれの組み合わせにおいて差がみられ,病徴の有無と地際部での細菌の増殖には相関関係が存在していた。その結果,
X. c. pv.
poaeは
Poa属植物に対する病原性の違いから3グループに区別されることが明らかとなった。すなわち
X. c. pv.
poaeは,スズメノカタビラとsupina bluegrassに対して病原性を示し,その病徴が萎ちょう症状と葉の黄化症状であるJT-P192株に代表されるグループ1,スズメノカタビラ,rough bluegrass, supina bluegrassに対して萎ちょう症状のみを引き起こすJT-P482株に代表されるグループ2,そしてスズメノカタビラ,rough bluegrass, supina bluegrass, big bluegrassに対して萎ちょう症状のみを引き起こす標準菌株であるATCC33804に代表されるグループ3に区別される。
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