日本植物病理学会報
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64 巻 , 1 号
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  • 西野 友規, 藤森 嶺
    1998 年 64 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本およびアメリカで分離されたスズメノカタビラに萎ちょう症状を引き起こすXanthomonas campestris pv. poaeのうち任意に選抜した9菌株とX. c. pv. poaeの標準菌株であるATCC33804株を用いて,9種23系統のPoa属植物に対する病原性を,(1)病気を引き起こすか,(2)植物内で増殖・移行できるか,(3)宿主植物の病徴はどのようなものか,という3項目について調査した。剪葉接種法により接種試験を行ったところ,すべての菌株はすべての供試植物の接種部位において増殖したが,地際部での細菌の増殖にはそれぞれの組み合わせにおいて差がみられ,病徴の有無と地際部での細菌の増殖には相関関係が存在していた。その結果,X. c. pv. poaePoa属植物に対する病原性の違いから3グループに区別されることが明らかとなった。すなわちX. c. pv. poaeは,スズメノカタビラとsupina bluegrassに対して病原性を示し,その病徴が萎ちょう症状と葉の黄化症状であるJT-P192株に代表されるグループ1,スズメノカタビラ,rough bluegrass, supina bluegrassに対して萎ちょう症状のみを引き起こすJT-P482株に代表されるグループ2,そしてスズメノカタビラ,rough bluegrass, supina bluegrass, big bluegrassに対して萎ちょう症状のみを引き起こす標準菌株であるATCC33804に代表されるグループ3に区別される。
  • 有江 力, Satyanarayana GOUTHU, 島崎 聡, 鎌倉 高志, 木村 真, 井上 美津子, 瀧尾 擴士, 尾崎 明, 米山 ...
    1998 年 64 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    土壌病原糸状菌Fusarium oxysporumの産生するエンドポリガラクツロナーゼ(PG)は,病徴発現において重要な役割を果たすといわれている。精製したトマト萎凋病菌(F. oxysporum f. sp. lycopersici race 2)由来のPGタンパク質を抗原としてポリクローナル抗体APG1を作製し,これを用いてdirect tissue-immunobinding assay (DT-IBA)法により,寄主植物の茎中でF. oxysporum f. sp. lycopersiciがPGを産生していることを認めた。また,PGタンパク質のアミノ酸解析により得られた部分アミノ酸配列情報をもとにプライマーをデザインし,PCRとTAIL-PCRにより,PGをコードする遺伝子の全長を含む1783bpの塩基配列を決定した。PG遺伝子は,47, 51, 50, 54bpの4つのイントロンを含む1318bpのコード領域からなり,371アミノ酸残基をコードし,このうち,22残基はシグナルペプチドであることが推測された。アミノ酸レベルで,F. moniliforme PG, Cochliobolus carbonum PGNI, Aspergillus niger PG, A. oryzae PGおよびSclerotinia sclerotiorum PGIとそれぞれ,82.9%, 29.0%, 27.6%, 14.2%, 26.9%の相同性を示した。
  • 宮沢 淳, 阿部 加乃, 長谷川 浩
    1998 年 64 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマト萎ちょう病に対する抵抗性誘導物質4-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド,サリチルヒドラジドおよび2-焦性粘液酸がトマト細胞壁結合型パーオキシダーゼおよび精製西洋ワサビ・パーオキシダーゼ活性を阻害することを見いだした。一方,トマト萎ちょう病に対して抵抗性を誘導しないサリチル酸はパーオキシダーゼ阻害を示さなかった。西洋ワサビ・パーオキシダーゼはアロステリック酵素であり,これらの抵抗性誘導物質は西洋ワサビ・パーオキシダーゼをアロステリックに阻害することが見いだされた。逆に,4-クマル酸とサリチルヒドロキサム酸は西洋ワサビ・パーオキシダーゼを活性化した。これらの抵抗性誘導物質のうち,4-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジドとサリチルヒドラジドはパーオキシダーゼの不活性中間体compound IIIに結合した。4-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジドはcompound IIIを弱く活性化し,4-クマル酸,サリチルヒドロキサム酸と同様に,NADH依存パーオキシダーゼ反応のcofactorとなった。
  • 笹谷 孝英, 野津 祐三, 小金澤 碩城
    1998 年 64 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本の異なる地域および植物から分離したインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV) 28分離株について,判別植物の反応と血清反応を比較した。BYMVはインゲン15品種の反応で4つのPathotypeに分けることができた。Pathotype Iはインゲン品種の本金時のみに全身感染を示し,他の品種には局部感染であった。Pathotype IIは本金時,ケンタッキーワンダーおよび他4品種に全身感染を示し,Pathotype IIIは本金時,ケンタッキーワンダー,マスターピースおよび他4品種に全身感染を示し,Pathotype IVは今回用いた15品種すべてに全身感染を示した。pathotype IIに属するBYMVはソラマメにおいて他のPathotypeに属すものより高い種子伝染性を示した。BYMVあるいはクローバ葉脈黄化ウイルス(ClYVV)に対する16種のモノクローナル抗体(MAb)を用いたTAS-ELISAで,BYMV28分離株には血清学的差異が観察され,病原性とある程度一致したが,ポリクローナル抗体を用いたDAS-ELISAでは,分離株間での顕著な差異は観察されなかった。MAb-1F3はPathotype I, II, IIIとClYVVの1株と反応した。MAb-2C4はPathotype IIのみと反応し,MAb-5F2は今回用いたBYMVとClYVVすべての株と反応した。MAb-2B4, -2C5, -3F9, -3F11, -4G8および-4H9はPathotype IIとIIIのすべてと,Pathotype IとIVの一部の株と反応した。MAb-1A2と-2H8はPathotype IIIとClYVV2分離株と強く反応した。以上より,日本のBYMVは病原性および血清学的に変異に富んでおり,4つのPathotypeに分かれることが明らかとなった。
  • Rey-Yuh WU, Wen-Hsiung KO
    1998 年 64 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    バナナに広く発生し,大きな被害を起こしているBBTVはモノクローナル抗体を用いたELISAにより検定可能ではあるが,罹病バナナの生葉検定では輸送により検出できなくなることがある。そこで,長距離輸送後の病葉のELISA検定で検出できる保存方法について,乾燥法,処理温度等を検討した。バナナ葉組織を50°Cで14∼16時間乾熱乾燥した後,室温に置いても,-70°Cで保存したものに比べてやや抗原性は低下するが,検出可能であった。本法は簡便であり,外国に病葉を送りBBTV検定をする場合には有用な方法である。
  • 小林 享夫, 陳 忠和
    1998 年 64 巻 1 号 p. 38-40
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    茨城県取手市で発生したヤブラン炭疽病の病原菌は,岩田(1941)の報告した鎌形分生子を持つColletotrichum omnivorum (=C. dematium)とは異なり,子のう胞子のほかに円筒・楕円形の分生子を持つため,Glomerella cingulataと同定した。また接種により本病菌の病原性を確認し,ヤブラン炭疽病菌の一つとして追加した。本病は成熟葉に晩秋から発病し,翌春激しくなる。本菌分生子の発芽適温は25°Cで,2時間後から発芽する。菌叢の生育適温は30°Cで,高温型に属する。好適培地はリチャーズ寒天培地で,斉藤氏しょうゆ寒天培地では生育が劣り,アマリリスおよびマオラン分離株(陳ら,1997)と似た傾向を示した。また糖のなかでは果糖をよく利用するがしょ糖では生育が劣り,チッソ源では硝酸カリと硝酸ナトリウムをよく利用し,硫酸アンモニウムはほとんど利用しない。これらはマオラン炭疽病菌と相似た傾向であった。
  • 岸 國平, 古川 聡子, 小林 享夫, 白石 俊昌, 酒井 宏, 田中 一嘉
    1998 年 64 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    堀による命名以後,アナモルフの記載等に疑問を残したまま放置されてきたネギ黒渋病について研究し,以下のような事実を明らかにした。
    (1)群馬県下仁田町で,多年にわたり自家採種と連作が繰り返されてきた同町特産の下仁田ネギに,本病が毎年激しく発生することが認められた。(2)本病の発生は下仁田町を含む関東北部,東北,北海道地域で多く認められ,関東南部および関東以西の地域ではまれにしか認められなかった。(3)培養菌叢片およびほ場病斑の成熟子のう胞子を用いて行った接種実験において,いずれも自然発病と同様に病徴を再現した。(4)観察されたすべての自然発病および人工接種病斑においてテレオモルフは形成されたが,アナモルフは全く認められなかった。(5)本病菌の培地上の生育適温は約20°C,子のうの成熟適温は20∼25°C,子のう胞子の発芽管伸長の適温は20∼25°Cであり,生育とpHの関係はpH 4∼9で生育し,6∼9で最も良かった。
  • 草刈 眞一, 江口 晴一郎, 趙 志宏, 鷲見 隆男, 岡田 清嗣
    1998 年 64 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 銀化合物のPythium属菌遊走子の遊泳運動および発芽阻害について検討したところ,酸化銀の30ppb以上の濃度で遊泳運動および発芽阻害の認められることがわかった。
    2. 銀を化学的に繊維に付着させた銀被覆布をpH 6.0の1単位の濃度の園試興津配合の水耕培養液に3cm2/l添加したところ,培養液中の銀濃度は40ppbとなり,遊走子の運動および発芽阻害が認められた。
    3. 小型の水耕栽培装置に銀被覆繊維布を3cm2/l添加後,P. aphanidermatum遊走子を接種し,キュウリを移植したところ根腐病の発生が抑制された。また,同様に,Pythium sp. type Fを接種し,ミツバを移植したところ根腐病の発生が抑制された。
    4. 培養液量1tの水耕装置を用いて銀被覆繊維布のキュウリ根腐病防除効果について検討したところ,銀被覆繊維布を添加後,遊走子を添加した場合には,発病がほとんど認められず,発病抑制効果が認められた。このときの培養液中の銀濃度は,40ppbであった。
    5. 子苗移植から収穫期までの期間銀被覆繊維布を添加して栽培したキュウリの果実の銀含有量を調査したところ,銀被覆繊維布添加区および無処理区とも検出限界以下で,測定値は0.01∼0.02ppmになり,両者に差は認められなかった。
  • 小林 享夫, 岸 國平, 古川 聡子, 田中 一嘉, 白石 俊昌, 酒井 宏
    1998 年 64 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ネギ黒渋病の病原菌であるMycosphaerella属菌は,テレオモルフ(完全世代)のみを形成し,アナモルフ(不完全世代)を持たない種類であることが,関東から北海道にかけての広い地域での圃場観察,それらの標本からの分離・培養実験,および沢田(1919)および吉井(1929)の報告に照らして,明らかになった。従来の国内文献において,病原菌にアナモルフ(不完全世代)の記録のあるものは,すべて類似の混発している病害の病原菌を誤認したものとの結論が得られた。わが国では黒渋病菌のテレオモルフにMycosphaerella schoenoprasi (Auerswald) Schröterの種名が用いられていたが,世界のネギ属に寄生するMycosphaerella属菌5種との比較の結果,アナモルフを持たない2種と形態的に一致し,より古く記載された種Mycosphaerella allicina (Fries: Fries) Vestergrenと同定し,M. schoenoprasiはその異名として処理した。
  • 1998 年 64 巻 1 号 p. 73
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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