日本植物病理学会報
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Pseudomonas syringae pv. maculicolaの病原性におけるコロナチン産生の役割
田村 勝徳朱 亜峰佐藤 守寺岡 徹細川 大二郎渡辺 実
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1998 年 64 巻 4 号 p. 299-302

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抄録

Pseudomonas syringae pv. maculicolaの病原性に果たすコロナチンの役割について検討した。菌株はハクサイ分離株H3-6と,コロナチン産生遺伝子を保有するプラスミドpMAC1を除去したコロナチン非産生変異株6-1-3を用いた。約106cfu/mlの細菌懸濁液をハクサイ葉身に噴霧接種したところ,いずれも接種約1週間後に直径2∼3mmの黒色壊死斑を形成した。6-1-3株とH3-6株との間で病斑数に有意差はなかったが,前者では壊死斑の周囲に黄色ハローは認められなかった。一方,中肋部に穿刺接種した場合,H3-6株では維管束に沿って水浸状条斑が伸長したのに対して,6-1-3株では黒色病斑の拡大が顕著に抑制された。また,6-1-3株はハクサイ葉組織内でH3-6株とほぼ同様に増殖した。以上の結果から,pv. maculicolaのコロナチン産生性は細菌の宿主組織内での増殖と黒色壊死斑の形成には影響しないが,黄色ハロー症状の発現と葉中肋部での病斑の拡大に寄与することが明らかとなった。

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