日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
日本の核果類から分離されたモモラテントモザイクウイロイドについて
大崎 秀樹山口 正己佐藤 裕冨田 恭範川合 康充宮本 善秋大津 善弘
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 65 巻 1 号 p. 3-8

詳細
抄録
RT-PCRを用いてモモラテントモザイクウイロイド(PLMVd)を検出するためのプライマーセット,および核酸抽出試料の検討を行い,日本各地の核果類のPLMVdの感染状況を調査した。その結果,モモでは94.3%,ニホンスモモでは5.3%,ウメでは4.4%,オウトウでは3.7%が陽性であったが,ヨーロッパスモモとアンズでは0%であった。さらに果樹試験場保存核果類品種の感染状況を調査した結果,モモ保存品種で高率に感染していた。かつて斑葉,油斑モザイク各病原を保毒しているとされていた果樹試験場保存各品種はすべて陽性であった。しかし,RT-PCR検定をした果樹試験場保存核果類樹の症状を調査した結果,モザイク症状を呈したのは,PLMVd陽性の1品種のみであった。モモ品種中津白桃およびあかつきから分離した株の塩基配列を解析した結果,Floresらにより解析された株と比較して中津白桃株では,塩基置換24ヵ所,あかつき株では,塩基置換26ヵ所,挿入1ヵ所,欠失1ヵ所が認められた。それぞれ91, 92%の相同性があった。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
次の記事
feedback
Top