20°C/15°Cの温室内で,
Xanthomonas campestris pv.
poae (JT-P482)のハサミによる2次伝搬を想定したモデル実験を行った。10
8cfu/mlの濃度のrifampin耐性菌(Rif-482)を接種1ヵ月後,すなわちスズメノカタビラ体内における菌数が十分に増殖した場合(10
10cfu/g FW)には,本細菌はハサミにより容易に別のスズメノカタビラに2次伝搬し,そのときの生菌数は,10
8から10
10cfu/mlの接種源を接種した場合に相当することが確認された。しかし,植物体内における細菌の増殖量が10
10cfu/g FWに達しなかった場合には,2ヵ月間隔でハサミによる2次伝搬を3回繰り返すことによりその生菌数は徐々に減少し検出限界以下に達した。芝地圃場内のスズメノカタビラに対し,10
8cfu/mlの濃度のRif-482を接種し,細菌の拡散と消長について調べた結果,刈り込みにより容易に2次伝搬の引き起こされることが確認された。すなわち,11月に接種された本細菌は,12月には芝刈り機の刃により16m離れた位置に生育したスズメノカタビラにも伝搬し,翌年5月にはいったん生菌数が増加したものの,夏に自然枯れとなった後,秋には10
3cfu/g FWまで減少した。この細菌数は,自然界に存在する値に近いと思われる。以上のことから,本細菌の生活環は,スズメノカタビラの傷から次のスズメノカタビラの傷へと低濃度で移行し,低濃度で生存するものと推察された。
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