日本植物病理学会報
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65 巻 , 1 号
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  • 大崎 秀樹, 山口 正己, 佐藤 裕, 冨田 恭範, 川合 康充, 宮本 善秋, 大津 善弘
    1999 年 65 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    RT-PCRを用いてモモラテントモザイクウイロイド(PLMVd)を検出するためのプライマーセット,および核酸抽出試料の検討を行い,日本各地の核果類のPLMVdの感染状況を調査した。その結果,モモでは94.3%,ニホンスモモでは5.3%,ウメでは4.4%,オウトウでは3.7%が陽性であったが,ヨーロッパスモモとアンズでは0%であった。さらに果樹試験場保存核果類品種の感染状況を調査した結果,モモ保存品種で高率に感染していた。かつて斑葉,油斑モザイク各病原を保毒しているとされていた果樹試験場保存各品種はすべて陽性であった。しかし,RT-PCR検定をした果樹試験場保存核果類樹の症状を調査した結果,モザイク症状を呈したのは,PLMVd陽性の1品種のみであった。モモ品種中津白桃およびあかつきから分離した株の塩基配列を解析した結果,Floresらにより解析された株と比較して中津白桃株では,塩基置換24ヵ所,あかつき株では,塩基置換26ヵ所,挿入1ヵ所,欠失1ヵ所が認められた。それぞれ91, 92%の相同性があった。
  • 野田 孝人, 加来 久敏
    1999 年 65 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病細菌は維管束の導管内で特異的に増殖する。走査電子顕微鏡観察の結果,接種2週間後には本菌が導管内に充満し,導管壁などの組織の崩壊が観察された。一方,バイアル試薬などによる組織染色観察によって,健全導管組織の染色性が他の組織と異なることが明らかとなった。本菌が特異的に増殖する導管内には本菌の増殖に必要な成分が含まれると考えられたため,溢液を採集して本菌の増殖程度の観察を行った。採集した溢液を凍結乾燥して濃縮し,蒸留水または0.5%スクロース液で希釈した後,本菌の増殖をバイオフォトレコーダーで観察した。その結果,蒸留水で希釈した場合,溢液原液の10倍量の凍結乾燥物質を添加しても明瞭な増殖は確認できなかった。一方,スクロース液で希釈した区では1.25倍の濃度でも明瞭に増殖が確認できた。溢液成分による増殖試験および組織化学的観察の結果から,多糖質からなる導管壁成分を糖質源として利用している可能性が示唆された。そこで,イネ細胞壁成分を分画して合成基礎培地に添加した結果,ペクチン質画分添加区で顕著な増殖が認められた。今後,本菌の細胞壁分解活性を有する酵素産生について試験を行い,イネ導管内での本菌の増殖機構についてさらに検討を行う。
  • Le Dinh DON, 草場 基章, Alfredo S. URASHIMA, 土佐 幸雄, 中屋 敷均, 眞山 滋志
    1999 年 65 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本におけるイネいもち病菌の個体群構造を明らかにするため,MAGGYおよびMGR586を用いてDNAフィンガープリント解析を行った。1993∼1997年に採集・単胞子分離した278菌株(圃場菌株)および1976年に採集された22菌株(実験室保存菌株)を解析したところ,それぞれの菌株集団が70%レベルの相同性を有する2つのリネージ(Lineage)に分けられた。さらに圃場菌株における2つのリネージは実験室保存菌株における2つのリネージと1対1に対応した。以上の結果から,現在の日本におけるイネいもち病菌集団には2つのリネージ(JL1, JL2と仮称)が存在することが明らかとなった。JL1は圃場菌株および実験室保存菌株のそれぞれ97%および77%を占める主要なリネージで,日本全国に分布していた。一方,1960年以前に採集された集団は少なくとも5つのリネージよりなるとされているが,JL1, JL2はそのうちの2つに相当した。このことから,日本のイネいもち病菌集団の構造は1960年から1976年の間に大きく変化したことが示唆された。各リネージに属する菌系のイネ判別品種に対する病原性を調べたところ,リネージと病原性の間に関連は認められなかった。両プローブによるリネージ分類はほぼ同じであったことから,MAGGYはイネいもち病菌の個体群動態を解析するためのプローブとして有用と考えられる。
  • 金子 功, 大脇 真紀子, 柘植 尚志
    1999 年 65 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナシ黒斑病菌T88-56菌株から検出された環状DNAプラスミドpAAT56 (5354bp)は,2つの大きな推定読み枠ORF1 (1290bp)とORF2 (1653bp)をコードしている。先に,pAAT56が宿主菌の病原性や栄養生長を抑制することが示唆された。本研究では,pAAT56の機能をさらに解析するために,本プラスミドの細胞内局在性と遺伝子発現について調査した。T88-56株から核とミトコンドリア画分を調製し,それぞれのDNAを抽出した。全DNA,核DNAおよびミトコンドリアDNAのサザンブロット解析の結果,全DNAと核DNAからのみpAAT56が検出され,本プラスミドが核に局在することが示唆された。pAAT56をプローブとしたノーザンブロット解析によって,約1.7, 2.7および5.4kbの転写RNAが検出された。さらに,ORF1とORF2領域のセンスおよびアンチセンスRNAプローブを用いて,これら3種のRNAが両ORFのセンス鎖であることが明らかとなり,両ORFがタンパク質に翻訳される可能性が示された。そこで,大腸菌発現ベクターを用いて調製したORF1融合タンパク質に対するマウスポリクローナル抗体を調製し,ウエスタンブロット解析によりT88-56株とT88-56株由来のプラスミド欠損株からORF1産物の検出を試みた。その結果,T88-56株からのみ抗ORF1タンパク質抗体と反応する6種のタンパク質(約38, 49, 52, 62, 70および73kDa)が検出された。ORF1産物の分子量は約49kDaであり,pAAT56保有株では複数のORF1関連タンパク質が翻訳後の修飾を伴って生産されることが示唆された。
  • 井上 康宏, 瀧川 雄一
    1999 年 65 巻 1 号 p. 32-41
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    P. syringae群細菌の病原型(pathovar)間の遺伝子レベルでの相違を調査するために,P. s. pv. glycinea (Psg), pv. maculicola (Psm), pv. phaseolicola (Psp), pv. tabaci (Pst)の遺伝子ライブラリーよりhrp遺伝子とその周辺領域のクローンを選抜し,DNAの相同性と制限酵素地図の比較を行った。Psg, Psp, Pstは調査した全領域において相同性が高く,制限酵素地図がよく一致していたが,Psmは相同性は認められるものの制限酵素切断部位は全く異なっていた。hrpRSの右外側領域はすべての菌株においてP.s. pv. tomatoから分離報告されているavrE領域と相同性を示した。avrE相同領域の外側ではPsmと他の菌株との間に相同性が検出できなかった。他のP. syringae群細菌の病原型間においてPspPsmより作成したプローブを用いてゲノミックサザンを行った結果,hrp領域の周辺においては,比較的均一で高い相同性が確認された。avrE相同領域およびその外側領域ではPsp由来のプローブと高い相同性を示すグループ(group I), Psm由来のプローブと高い相同性を示すグループ(group II),いずれに対しても相同性を検出できないか低い相同性のみを示すグループ(group U)に類別された。
  • 高浪 洋一, 内場 隆行, 重見 知宏, 菊原 賢次, 竹下 稔
    1999 年 65 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)は血清学的性質ならびに塩基配列の違いからsubgroup IとIIに大別されている。異なるsubgroupに属するCMV分離株に混合感染した感染植物組織内のそれぞれのウイルスRNAを特異的に検出することを目的として,ジゴキシゲニン(DIG)標識合成プローブを用いたhybridizationを試みた。CMVの3種のゲノムRNAはほぼ共通した塩基配列の3'末端非翻訳領域(3'NCR)を有することから,1本のプローブですべてのRNAの検出が可能であることが知られているが,3'NCRの一部にsubgroup間で塩基配列が大きく異なる領域が存在する。その領域に相補的なDIG標識合成オリゴデオキシリボヌクレオチドをそれぞれプローブとして準備し,nylon membrane上でdot-blotおよびnorthern blot hybridizationを行った。alkaline phosphatase標識DIG抗体および化学発光基質を用いた場合,dot-blotで10pgのCMV RNAが検出可能であった。また,northern blot hybridizationにおいては各subgroupのRNA 1∼4のすべてが特異的に検出された。さらに,感染粗汁液を直接プロットした場合でもsubgroup特異的なCMV RNAの検出が可能であった。本法は,標識プローブの長期安定性,操作の簡便性ならびに放射能を用いる方法に比肩し得る十分な検出感度などの利点を有し,CMV RNAのsubgroup特異的検出に有用と思われる。
  • S.M. Khorshed ALAM, 富樫 二郎, 大友 隆之, 生井 恒雄
    1999 年 65 巻 1 号 p. 46-48
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1996年7月山形県鶴岡市日枝地区でパクチョイ(Pak-choi)の中肋基部に水浸状で軟腐病類似の症状が発生し,全身的に腐敗し倒伏している株も多数みられた。これらの病斑部から常法の希釈平板法により分離された18菌株は,いずれもブイヨン寒天培地上で全縁,乳白色,バター質状であり,変法ドリガルスキー培地上に黄色で芯のある集落を形成し,グラム陰性,通性嫌気性の周毛かん菌であった。また,運動性を有し,グルコースを発酵的に分解し,オキシダーゼ活性,スクロースからの還元物質の生成などは陰性であった。分離菌株はニンジン,ダイコンの根部,ジャガイモ塊茎およびハクサイ中肋の各組織に軟腐症状を軟化させるとともに,素焼鉢に栽培したパクチョイ(Pak-choi)やハクサイに対する付傷接種試験では圃場での自然発病と同様の軟腐症状を示した。これらの分離菌株の細菌学的性質,接種試験の結果およびErwinia属の亜種を識別する37°Cでの増殖の有無,エリスロマイシン感受性などの性質から,今回の分離菌株はいずれもErwinia carotovora subsp. carotovora (Jones 1901), Bergey, Harrison, Breed, Hammer and Huntoon 1923と同定された。以上より,今回のパクチョイ(Pak-choi)の軟腐症状は本菌による軟腐病(Bacterial soft rot)で,本邦未記載の新病害である。
  • 大野 浩, 江原 淑夫
    1999 年 65 巻 1 号 p. 49-51
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    pH 6.0の緩衝液に懸濁したキュウリモザイクウイルス普通系統(CMV)をポリエチレングリコール法によりタバコ葉肉プロトプラストに接種した場合,pH 8.0の緩衝液に懸濁したときに比べプロトプラストにおけるウイルス増殖量は少ない。CMV RNA接種でも同様の結果が得られたが,CMV粒子接種で見られたpH 6.0における著しい感染性の低下は認められなかった。接種10∼120分後のプロトプラストよりウイルス外被タンパク質を抽出し,ショ糖密度勾配遠心分離およびウエスタンブロットにより解析したところ,両pHでウイルス侵入および脱外被の過程に差は認められなかった。よってpH 6.0に懸濁したウイルスはプロトプラスト侵入後,脱外被以降の感染過程が阻害されたと考えられる。接種時のプロトプラスト懸濁液中には細胞由来のRNaseが存在し,タバコ葉を用いた解析結果のようにCMVのプロトプラストへの感染性に影響を与えている可能性が推定された。
  • 今泉 誠子, 藤森 嶺
    1999 年 65 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    スズメノカタビラ体内におけるXanthomonas campestris pv. poae (JT-P482)の生存性を,rifampin耐性菌(Rif-482)を用いて調べた。1)生きた植物体内における本細菌の生存性:7ヵ月後に,20°C/15°C(昼温/夜温)の温度条件下では,高濃度(108, 1010cfu/ml)接種の場合には細菌数は検出限界以下となり,低濃度(104, 106cfu/ml)接種の場合には,約104cfu/gFW以下に収束した。一方,野外で11月に106から1010cfu/mlの濃度のRif-482を接種した場合の植物体内生菌数は,7ヵ月後(6月)にはすべて104cfu/gFW以下に収束し,104cfu/mlを接種した場合には大多数が検出限界以下の値を示した。以上より,本細菌は,自然界では,一見健全に見えるスズメノカタビラ内に低濃度で存在すると考察した。2)接種により枯死した植物体内における本細菌の生存性:試験開始時に1010cfu/gDWであった本細菌は,乾燥条件下では,20°C/15°Cで100週後に検出限界以下となったが,4°Cでは2年経過後に106cfu/gDWの細菌が存在していた。一方,100%RHでは,20°C/15°C, 4°Cで11, 47週後にそれぞれ検出限界以下となった。
  • 今泉 誠子, 藤森 嶺
    1999 年 65 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    20°C/15°Cの温室内で,Xanthomonas campestris pv. poae (JT-P482)のハサミによる2次伝搬を想定したモデル実験を行った。108cfu/mlの濃度のrifampin耐性菌(Rif-482)を接種1ヵ月後,すなわちスズメノカタビラ体内における菌数が十分に増殖した場合(1010cfu/g FW)には,本細菌はハサミにより容易に別のスズメノカタビラに2次伝搬し,そのときの生菌数は,108から1010cfu/mlの接種源を接種した場合に相当することが確認された。しかし,植物体内における細菌の増殖量が1010cfu/g FWに達しなかった場合には,2ヵ月間隔でハサミによる2次伝搬を3回繰り返すことによりその生菌数は徐々に減少し検出限界以下に達した。芝地圃場内のスズメノカタビラに対し,108cfu/mlの濃度のRif-482を接種し,細菌の拡散と消長について調べた結果,刈り込みにより容易に2次伝搬の引き起こされることが確認された。すなわち,11月に接種された本細菌は,12月には芝刈り機の刃により16m離れた位置に生育したスズメノカタビラにも伝搬し,翌年5月にはいったん生菌数が増加したものの,夏に自然枯れとなった後,秋には103cfu/g FWまで減少した。この細菌数は,自然界に存在する値に近いと思われる。以上のことから,本細菌の生活環は,スズメノカタビラの傷から次のスズメノカタビラの傷へと低濃度で移行し,低濃度で生存するものと推察された。
  • 廣岡 卓, 内黒羽子 徹, 西口 勉
    1999 年 65 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1993∼96年の4年間にわたって,イソプロチオラン粒剤使用田を含む圃場から分離したイネいもち病菌について,イソプロチオランに対する感受性を50%菌糸生育阻止濃度EC50値によってモニターした。実験室内の選抜で得られた有機リン剤in vitro耐性変異株はイソプロチオランにも耐性であることが報告されていることから,IBPおよびEDDPに対する感受性についてもEC50値によってモニターした。イソプロチオランおよびIBPのEC50値については,1977∼83年のモニタリング結果と比較し,両モニタリング時期の感受性の変動を比較した。イソプロチオランに対する感受性は,両時期とも明瞭な一峰性を示し,対照に用いた感性菌と同程度の感受性レベルであった。1977∼83年におけるIBPに対する感受性から,IBPでは感性菌とMR菌の二群に分けられた。さらに,MR菌は耐性程度が低く分離頻度の高い集団と耐性程度が高く分離頻度が低い集団からなっていた。1993∼96年には,耐性程度が低いMR菌のIBPに対する感受性が高まっていたのに対して,耐性程度が高いMR菌の耐性度は変わらなかった。一方,1993∼96年におけるEDDPに対する感受性は,対照の感性菌の近傍であった。in vitro耐性変異株のような高度耐性菌は,いずれのモニタリング時期でも圃場からは分離されなかった。IBP-MR菌の耐性程度の違いとイソプロチオランおよびEDDPに対する感受性との間に相関は認められなかった。薬剤の予防的散布による防除効果試験によって,IBP-S菌およびIBP-MR菌に対して,常用濃度およびその半薬量散布ではイソプロチオランおよびEDDPの防除効果の低下は認められなかった。これらの結果から,圃場から分離されたIBP-MR菌は,イソプロチオランおよびEDDPに対して交差耐性を示さないことが示唆された。
  • 生井 恒雄, 大場 淳司, 菅原 秀治, 富樫 二郎
    1999 年 65 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本実験はイネの穂を通過する際に発生するイネいもち病菌の変異菌の出現率,レース数に及ぼす抵抗性品種の関係と,病原性変異の方向に及ぼす通過する品種のもつ真性抵抗性遺伝子の影響を検討する目的で行った。すなわち,ササニシキのいもち病真性抵抗性同質遺伝子5品種,2系統の穂に野外に分布する非親和性レースの分離菌株を注射接種して,その罹病穂からの再分離株の病原性を調べた。その結果,抵抗性品種・系統の罹病穂からの分離株は検出レース数,病原性変異菌株の出現率,侵害できる遺伝子数についても罹病性品種の穂を通過させた場合に比べて明らかに高くなり,変異菌の発生に抵抗性品種の穂が重要な意味をもつことが明らかとなった。出現した変異株の病原性と通過品種の真性抵抗性遺伝子の関係をみると,通過した品種を侵害できる新レースが出現するものもみられたが,通過した品種に含まれない他の真性抵抗性遺伝子をもつ品種を侵害できるものも同時に得られることが一般的であった。このことから,イネ穂上でみられるいもち病菌変異株の変異の方向は真性抵抗性遺伝子の種類には影響されず,無方向に起ると結論した。供試した5品種・2系統の穂を通過させた場合に出現した変異株で常に多数出現したのはPi-ta, Pi-i, Pi-zをもつ判別品種を侵害できる菌株で,そのほかPi-k, Pi-bをもつ品種を侵害できる変異菌も少数ではあるが常時出現した。これに対してPi-ta2, Pi-ztPi-kmをもつ品種を侵害できる変異株はまれに出現したかあるいは出現しなかった。これらのことから,イネいもち病菌の非病原性遺伝子にはきわめて不安定なもの,中程度不安定なもの,安定なものの3種類がある可能性が示唆された。
  • 吉田 克志, 大口 富三
    1999 年 65 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ダイコン,アブラナおよびブロッコリーの子葉に熱処理を行い,病原性の異なるP. parasitica Pers. ex Fr.のダイコン(Rs),アブラナ(Bc),ブロッコリー(Bo)およびナズナ(Cb)分離菌4種類の分離菌を交差接種した。子葉に47.5∼50°Cで30秒間熱処理を行って非親和性菌を接種した場合,アブラナ科蔬菜の3分離菌ではわずかながら,分生子形成が認められたが,Cb菌では分生子形成は認められなかった。感染部位の蛍光顕微鏡観察により,アブラナ科蔬菜の3分離菌を非親和性菌として接種した熱処理子葉では吸器形成細胞死や吸器の被覆化など植物の抵抗反応が顕著に抑制されていた。一方,Cb菌接種の場合には,熱誘導性の感受性は接種48時間に失われ,顕著な抵抗反応の回復が観察された。以上の結果から,Rs菌,Bc菌およびBo菌とCb菌に対する植物の抵抗反応に著しい差異があることが確認され,これらの分離菌の病原性の差異が明らかになった。また,べと病菌の感染には植物の抵抗反応の抑制が必要であり,これは吸器の形成および発育によって制御されると考えられる。
  • 山本 淳, 佐藤 豊三, 富岡 啓介
    1999 年 65 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Glomerella cingulata (Stoneman) Spaulding et Schrenk (anamorph: Colletotrichum gloeosporioides (Penzig) Penzig et Saccardo) has been known as the pathogen of ripe rot of grapevine (Vitis vinifera L.). In addition to this fungus, another Colletotrichum species was isolated from fruits of grape cultivar ‘Sekirei’ with ripe rot in Shimane Prefecture in 1994. Colonies of the isolate on potato dextrose agar (PDA) were reddish to pale brown. Its conidia on PDA were one-celled, hyaline, ellipsoid to fusiform with acute ends and 12-17×4-5μm. Appressoria formed on potato carrot agar were pale grayish brown, ellipsoid, rarely irregular in shape, and 8-11×4-7μm. The isolate grew slower than that of G. cingulata isolates from grape fruits on PDA at the optimum temperature. These morphological and physiological characteristics agreed with those of Colletotrichum acutatum Simmonds ex Simmonds. The ripe rot symptom was reproduced on grapevine fruits after inoculation with the isolate of C. acutatum. These results lead us to propose that C. acutatum, as well as G. cingulata, causes ripe rot of grapevine.
  • 塩見 敏樹, 田中 穣, 植松 清次, 脇部 秀彦, 中村 宏子
    1999 年 65 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Diseases of statice (Limonium sinuatum), causing symptoms including dwarfing, yellowing and witches' broom, occurred at Chiba and Saga Prefectures during the autumn of 1996. Electron microscopy revealed the presence of numerous phytoplasma particles in the sieve tubes in diseased plants. In transmission tests using Macrosteles striifrons and Scleroracus flavopictus, M. striifrons transmitted the phytoplasma agent. Host range of the two phytoplasma isolates was similar.
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