日本植物病理学会報
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エンドウ・PALキメラ遺伝子プロモータを導入したトランスジェニック・タバコにおける菌類感染および傷害に対する発現の解析
Permpong SRIPRASERTSAKAndi SALAMAH井村 善之一瀬 勇規白石 友紀山田 哲治
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1999 年 65 巻 2 号 p. 123-130

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抄録

5'-PAL遺伝子プロモータ上流領域(-2196∼+110)を順次削り取り,GUSレポーター遺伝子に連結したキメラ遺伝子をタバコに導入後,4種PSPAL2-FL (-2196∼+110), PSPAL2-FLd1 (-1486∼+110), PSPAL2-FLd2 (-966∼+110), PSPAL2-FLd3 (-594∼+110)のトランスジェニック植物体を作出した。トランスジェニックタバコ葉におけるGUS発現様式を組織学的に観察したところ,タバコの非病原菌(Phytophthora capsici)接種において,PSPAL2-FLおよび器PSPAL2-FLd1導入体では,接種2日目で過敏感反応を起こした組織の周辺細胞できわめて顕著なGUS発現が検出されたのに対し,病原菌(Phytophthora nicotiana)接種葉では,微弱なGUS発現が接種部位周辺に拡がって検出された。また,剃刀でタバコ葉に付傷した場合にも顕著なGUS発現がみられた。これらの結果は,PSPAL2の遺伝子発現は病原菌接種に限らず,傷によっても誘導されること,本発現にはプロモータ上流域(-2196∼-966)が必要であることを示している。

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