日本植物病理学会報
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65 巻, 2 号
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  • 津下 誠治, 伊川 有美, 曵地 康史, 中澤(那須) 佳子, 鈴木 一実, 久保 康之, 堀野 修
    1999 年 65 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    luxオペロンを含むトランスポゾンTn4431を用いてイネ白葉枯病菌T7174Rの発光菌株を作出した。本菌株の培地上での増殖と発光の関係を検討したところ,最も増殖が活発である対数増殖期に最も強い発光が認められた。本菌株を親和性イネ品種IR24の葉身に接種したところ,病徴が発現する以前に発光領域が広がること,つまり細菌の増殖・移行が行われることが確認された。一方,抵抗性遺伝子Xa1およびXa2をもつとされ,T7174に対して非親和性であるイネ品種IR-BB2の葉身における発光は著しく弱く,また発光部位の顕著な広がりは認められなかった。しかしながら,接種21日後においてもその発光は認められ,発光菌株は非親和性イネ品種においても死滅することなく,わずかながら増殖を続けていることが明らかとなった。感染イネ葉からの本菌株の再分離を試みたところ,発光部位からは細菌が再分離されたが,発光領域を越えた部位での細菌の存在は確認できなかった。このことから,発光を検出することにより,感染イネ葉における白葉枯病菌の正確な存在部位,さらには感染過程を調べることが可能であると示唆された。
  • 井上 康宏, 瀧川 雄一
    1999 年 65 巻 2 号 p. 100-109
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas syringae群細菌のhrp遺伝子周辺領域において複数の繰り返し配列が存在していた。P. s. pv. maculicolahrpL外側からはIS5のグループに高い相同性を持つ領域が存在していた。しかしこの配列は一部欠損が見られ,ISとして機能していないことが推測された。他の領域から分離されたこれと相同な配列は完全なIS様配列であった。またP. s. pv. actinidiaeの同様な位置にも繰り返し配列が2ヵ所存在し,そのうちの1ヵ所はIS1240と相同性を示した。これら繰り返し配列のP. syringae群細菌内での分布を調査した結果,多数の菌株で相同領域が複数検出されたが,シグナルの数や強さは菌株によって異なっていた。P. s. pv. phaseolicolaの同様な位置にはavrPphE遺伝子が存在するが,今回調査した菌株には同遺伝子内に104bpの挿入があり,この配列はIS5グループの逆向き繰り返し配列に一致した。以上の結果よりhrp遺伝子の周辺では遺伝子の挿入と組み換えが起こっていたことが推測された。
  • 金森 裕之, 杉本 仁志, 落合 弘和, 加来 久畝, 露無 慎二
    1999 年 65 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナス科植物青枯れ病菌のhrp領域のクローンであるpVir2をプローブとしてカンキツかいよう病菌よりコスミドクローンpXCF13-38およびpXCF13-44を分離した。これらクローンを用いてマーカーエクスチェンジ法によりTn3を挿入したところ,約25kbの領域がカンキツ葉での病原性とタバコでのHR誘導の双方を司るhrp領域であることが判明した。特にpXCF13-38はhrp全領域を保持していたため,これを用いてXanthomonas属細菌のRFLP解析を行った。その結果,X. campestrisの各pathovarを明確に識別できた。またRFLP解析の結果を基に樹形図を作成したところ,生化学的性状に基づいた解析やランダムプローブを用いたRFLP解析の樹形図と異なる結果となった。以上のことより,hrp領域を用いたRFLP解析がX. campestrisのpathovar間の識別に有用であることを示すと同時に,hrpクラスターが培養学的性状などを司る他の領域とは独立して進化したことを示唆することができた。
  • 鳴坂 義弘, 鳴坂 真理, 堀尾 剛, 石井 英夫
    1999 年 65 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ベンゾチアジアゾール系化合物のアシベンゾラルSメチルを処理したキュウリにおいて,処理4ないし6時間後にはキュウリ黒星病菌に対する抵抗性が全身的に誘導され,抵抗性関連遺伝子であるパーオキシダーゼ,キチナーゼおよびβ-1, 3-グルカナーゼ遺伝子が発現した。アシベンゾラルSメチルを本葉第1葉に処理したところ,上位葉でも速やかにパーオキシダーゼおよびキチナーゼ遺伝子が誘導された。これに対して,β-1, 3-グルカナーゼ遺伝子は処理24時間後でも上位葉に誘導されなかった。このことから,β-1, 3-グルカナーゼはキュウリ黒星病菌の感染初期の抵抗反応には関与していないことが示唆された。このように,キュウリにおいてはアシベンゾラルSメチルは速やかに抵抗性関連遺伝子の発現や,全身的獲得抵抗性を誘導することが示された。
  • Permpong SRIPRASERTSAK, Andi SALAMAH, 井村 善之, 一瀬 勇規, 白石 友紀, 山田 哲治
    1999 年 65 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    5'-PAL遺伝子プロモータ上流領域(-2196∼+110)を順次削り取り,GUSレポーター遺伝子に連結したキメラ遺伝子をタバコに導入後,4種PSPAL2-FL (-2196∼+110), PSPAL2-FLd1 (-1486∼+110), PSPAL2-FLd2 (-966∼+110), PSPAL2-FLd3 (-594∼+110)のトランスジェニック植物体を作出した。トランスジェニックタバコ葉におけるGUS発現様式を組織学的に観察したところ,タバコの非病原菌(Phytophthora capsici)接種において,PSPAL2-FLおよび器PSPAL2-FLd1導入体では,接種2日目で過敏感反応を起こした組織の周辺細胞できわめて顕著なGUS発現が検出されたのに対し,病原菌(Phytophthora nicotiana)接種葉では,微弱なGUS発現が接種部位周辺に拡がって検出された。また,剃刀でタバコ葉に付傷した場合にも顕著なGUS発現がみられた。これらの結果は,PSPAL2の遺伝子発現は病原菌接種に限らず,傷によっても誘導されること,本発現にはプロモータ上流域(-2196∼-966)が必要であることを示している。
  • 鈴木 俊二, 小宮 友紀子, 三井 友宏, 露無 慎二, 久能 均
    1999 年 65 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Blumeria graminis f. sp. triticiの未発芽および発芽胞子のペクチナーゼ生産とペクチナーゼ遺伝子の発現を検討した。ペクチン酸プレート検定によって,未発芽胞子および人工基質膜上で発芽させた胞子中にポリガラクチュロナーゼ活性が検出された。PCR法を用いて,本菌のゲノムDNAから2種のエンド型ポリガラクチュロナーゼ遺伝子,2種のペクチンリアーゼ遺伝子および1種のペクチン酸リアーゼ遺伝子の断片を増幅した。これらの遺伝子をそれぞれpg1, pg2, pnl1, pnl2およびpel1と命名した。これらの遺伝子断片の塩基配列および推定されるアミノ酸配列は,他の糸状菌で明らかにされた既知のペクチナーゼ遺伝子産物と相同配列を含むことが示された。RT-PCR法によりpg1, pg2およびpnl2の発現が未発芽および発芽胞子で確認された。pnl1およびpel1の発現は,未発芽および発芽胞子,コムギ葉上の感染初期には検出されなかったが,胞子形成が盛んになる感染後期にはその発現が確認された。以上の結果は,pg1, pg2, pnl1, pnl2およびpel1は形態形成,病原性過程における役割が異なっており,必要なステージで発現することを示唆している。
  • Ting-Hsuan HUNG, Meng-Ling WU, Hong-Ji SU
    1999 年 65 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Greening fastidious bacteria (GFB)(一時的にLiberobacterとも呼ばれている)は,カンキツグリーニング病を引き起こす病原体である。本病原細菌は宿主植物の篩部に低密度で存在する。本研究では,感染カンキツよりGFBを高感度で特異的に検出できるDNAプローブをクローニングによって得た。GFBに特異的に反応する0.24kb断片を含むクローンをビオチン化ヌクレオチドを用いたPCR法によって標識し,この標識DNA断片をプローブとしたドットハイブリダイゼーションによって,マンダリン,タンゴル,スイートオレンジ,バメロなどの数種カンキツ植物中のGFBを検出することができた。本プローブはアジア諸国から蒐集したすべての感染植物のGFBと特異的に反応したが,南アフリカから得た植物のGFBとは反応しなかった。本プローブは感染植物中の微量のGFBを検出するために十分な特異性と感度を示し,特にアジア型グリーニング病の検疫に有効利用できる。
  • 中田 秀毅, 田原 愛子, 林 昌治, 清水 鈴菜, 田中 塁, 一瀬 勇規, 白石 友紀, 山田 哲治
    1999 年 65 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンドウつる枯れ病細菌(Pseudomonas syringae pv. pisi)レース1のhrp遺伝子座をSuperCos1ベクターにクローニングすると同時に,レース2∼4はレース1の塩基配列を参考としてPCR産物を調製し,pBluescript SK (+)にクローニングした後,hrpZの塩基配列から決定したアミノ酸配列を比較した。Pseudomonas属のHrpZ(ハーピン)のアミノ酸配列では95∼50%の相同性があったが,Erwiniaではさらに相同性が低かった。しかし,レース1, 2, 3のHrpZのアミノ酸配列の相同性は99%以上と高かった。P. s. pisiのHrpZタンパク質は他のハーピンと同様,グリシンに富み熱に比較的安定で,カルボキシル末端にGGGLGTPとQTGTのダイレクトリピートを保持していた。また,興味深いことにエンドウ褐紋病菌のサプレッシンBの6個のペプチドシークエンスのうち,4残基の配列相同性がHrpZに存在していた。
  • 本田 直弘, 平井 光代, 阿野 貴司, 正田 誠
    1999 年 65 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    新たに単離されたAlcaligenes faecalis No.4株はin vitroで13種の植物病原菌に対して増殖抑制効果を示した。この菌を液体培養すると,硝化反応産物であるヒドロキシルアミン,亜硝酸(NO2-),硝酸(NO3-)が生産されたことから,No.4は従属栄養硝化菌であると判定された。Rhizoctonia solaniのプレートで増殖が抑制されている部分からも,これらの硝化産物が検出された。これらの硝化産物の水溶液を用いて,R. solaniのプレートで増殖をみると,ヒドロキシルアミンのみが増殖の抑制を明瞭に示した。この結果から,No.4による植物病原菌の抑制作用はヒドロキシルアミンによると判断された。No.4株の培養液,菌体懸濁液,および遠心分離した培養上清それぞれを用いて,トマトの苗立枯病の防除試験を行った。滅菌土壌においては,R. solaniの引き起こすトマトの苗立枯病は上記3種類のサンプルで病害の抑制が見られたが,非滅菌土壌においては,No.4株の培養液,および菌体懸濁液のみが,病害抑制効果を示した。ヒドロキシルアミン水溶液を用いて,トマトの苗立枯病抑制試験を行うと,滅菌土壌においてのみ,病害抑制が見られた。このことは,ヒドロキシルアミンが土壌中で速やかに分解されてしまうことを示唆した。さらにNo.4株にトランスポゾン変異を施し,ヒドロキシルアミン非生産変異株をつくり,この変異株によるトマトの苗立枯病抑制試験を行ったところ,病害は抑制されなかった。土壌から,ヒドロキシルアミンの検出を試みたが,検出できなかった。以上の結果から,A. faecalis No.4株は,土壌中でヒドロキシルアミンを生産し,R. solaniの引き起こす病害を抑制すること,および生産されたヒドロキシルアミンはきわめて速やかに分解されることが明らかになり,A. faecalis No.4が生物防除の一方法としての可能性を示した。
  • 西村 亮, 佐藤 香緒理, Wang Hyu LEE, U.P. SINGH, Tun-tschu CHANG, Euis SURYANIN ...
    1999 年 65 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1992年から1997年の間に韓国,インド,台湾,インドネシア,タイ,ネパール,中国から採集したPhytophthora infestans 336菌株について交配型,アイソザイム(リンゴ酸酵素,グルコースホスヘートイソメラーゼ,ペプチダーゼ)の遺伝子型,メタラキシル感受性を調べた。インドと台湾からはA1菌株のみが,韓国とインドネシアからはA2菌株のみが検出されたが,タイ,ネパール,中国からは両交配型菌株とも検出された。韓国,インド,台湾,インドネシアの菌株はそれぞれ単型のアイソザイムの遺伝子型であったが,タイ,ネパール,中国の菌株は2つもしくは3つの遺伝子型を示した。韓国,インドネシア,中国にはメタラキシルに強い耐性を持つ菌株があった。台湾,インドのすべて,およびタイ,ネパール,中国北部,南部の一部の菌株は,中央メキシコ以外でのA2菌株出現以前に世界中で優占的であった古いタイプの個体群であった。タイとネパールの一部の菌株は,中央メキシコ以外でのA2菌株出現以降に発見された新しいタイプの個体群であった。韓国とインドネシアのすべて,および中国の大部分の菌株は,他地域ではほとんどみられない特異的な個体群であった。アジアにおいてこれらの異なる個体群の存在は,移入経路が様々であったこと,もしくはそれら個体群が世界の他地域に比べて,アジアの環境により適応できたことを示唆している。
  • Ampaabeng Gyedu KYEREMEH, 菊本 敏雄, 荘 敦堯, 郡司 祐一, 高原 吉幸
    1999 年 65 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    銅剤の減農薬に資するため,銅剤との併用可能な銅耐性微生物農薬の開発を目的として開発中の3菌株を親菌株として用いた。軟腐病菌の鑑別と選択性を加味した変法PDA培地を考案した。供試菌の懸濁液(1010cfu/ml) 1mlをペトリ皿にとり,硫酸銅加用変法PDA培地(1.3∼3.1mM)を流し込み,硫酸銅耐性の自然突然変異菌を分離した。この操作を硫酸銅の濃度を上げながら3回繰り返し,3.8∼6.3mMの硫酸銅加用PDA培地に生育する菌株を分離することができた。銅耐性は分離操作を繰り返すごとに漸増した。これらの硫酸銅耐生菌株のバクテリオシン活性を確認したのち,銅水和剤,ジチアノン・銅水和剤,および有機銅水和剤に対する耐性を調べた。そして前記の操作を繰り返し銅剤耐性菌の分離を試みた。ジチアノン・銅水和剤および銅水和剤(水酸化第二銅)耐性菌を分離することはできなかったが銅水和剤(塩基性硫酸銅)では500倍,有機銅水和剤では250倍の希釈になるよう調整したPDA培地に生育する耐性菌が分離できた。この有機銅水和剤耐性菌とその親菌株を用い,有機銅水和剤の600, 1200および1800倍の水溶液中における生存率を比較した結果,生存率は明らかに耐性菌の方で高くなった。
  • (XVI) うどんこ病菌Blumeria graminis f. sp. hordei接種子葉鞘から抽出された受容性関連因子
    荒川 征夫, 久能 均
    1999 年 65 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Blumeria (syn. Erysiphe) graminis f. sp. hordei(病原菌)がオオムギ子葉鞘細胞に感染する過程で起こる,受容性誘導に関連する化学的因子について検討した。B. graminis接種後0, 6, 12, 18時間目および非接種子葉鞘から低分子水溶性の粗抽出物を調製した。異なる濃度の粗抽出物液で処理した子葉鞘におけるE. pisi(非病原菌)の吸器形成率を調べ,それぞれの抽出物の受容性誘導活性を検定した。その結果,B. graminis接種後18時間目の粗抽出物で処理した子葉鞘でのみ16%以上のE. pisiが吸器を形成し,高い活性が認められた。この結果からB. graminis接種後18時間目までに子葉鞘中に受容性誘導に関連する化学的因子が生産されていることが示された。粗抽出物を薄層クロマトグラフィーで分画したところ,接種後18時間目の抽出物中に,紫外線照射およびニンヒドリンに陽性反応を示す特異的な因子(Rf=0.61)が存在することが明らかになった。この因子を含む画分およびその他2画分からの溶出物には受容性誘導活性が認められた。これらの画分に含まれるいくつかの因子が受容性誘導に複合的に関与していると考えられた。
  • 清水 鈴菜, 赤石 維衆, 根岸 秀明, 田中 博, 一瀬 勇規, 白石 友紀, 山田 哲治
    1999 年 65 巻 2 号 p. 184-188
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマト青枯病細菌の病原性野性株U-7から分離された非病原性突然変異体M4Sに特異的に存在しているプラスミドpJTPS1の全塩基配列を決定した。本プラスミドの塩基配列なびに推定ORFの相同性を検索した結果,Pseudomonas aeruginosaのバクテリオファージPf3のORF301や病原性および非病原性因子として報告されているトマト青枯病細菌のPopA1, HrpFの一部と相同性が検出された。サザンブロット解析によって,U-7のゲノム上にpJTPS1様配列が存在したこと,本pJTPS1様配列はPopA1相同配列の近傍でpJTPS1非相同配列に連続していたことから,pJTPS1はU-7ゲノム上のpJTPS1様配列が切り出され環状化されたプラスミドであり,本プラスミドの出現が非病原性に関与している可能性が推定された。
  • 竹内 繁治, 曵地 康史, 川田 洋一, 奥野 哲郎
    1999 年 65 巻 2 号 p. 189-191
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ピーマン種子からの簡便なトバモウイルス検出法を開発した。ピーマン種子を直接トバモウイルス抗体希釈液に60分間浸漬し,0.1M NaClと0.05% Tween 20を含む20mMリン酸緩衝液pH 7.4 (PBST)で洗浄後,アルカリフォスファターゼ(AP)標識抗ウサギIgGヤギ抗体液に60分間浸漬した。PBSTと蒸留水で洗浄後,APの基質NBT-BCIPに浸漬した結果,トバモウイルスに汚染された種子の表面には色素が沈着し,ウイルス汚染の有無を判別できた。本法で処理した種子は,無処理の種子と同様に正常に発芽した。本法では汚染ウイルスの感染性を評価できないが,市販種子での検出の結果はELISAと同様であったことから,ELISAよりも簡便で実用的なトバモウイルス検出法であると考えられる。
  • Ahmad YUNUS, 川又 伸治, 島貫 忠幸, 村上 泰弘, 一瀬 勇規, 白石 友紀, 山田 哲治
    1999 年 65 巻 2 号 p. 192-196
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オリーブこぶ病細菌のiaaM遺伝子(トリプトファンモノオキシゲナーゼ遺伝子)をネオティフォディウム・エンドファイト菌に導入し形質転換を試みた。その結果,ポリエチレングリコール(PEG)を用いる方法がエレクトロポレーション法に比べて高い形質転換効率を示した。ネオティフォディウムTF91006株とTi91093株の形質転換体におけるiaaM遺伝子と薬剤耐性マーカーのハイグロマイシン耐性遺伝子の染色体DNAへの組込みは,PCR法によって予想される560bpのiaaM遺伝子と1.7kbのハイグロマイシン耐性遺伝子の増幅によって確認した。これらの形質転換体におけるiaaM遺伝子の発現を培養ろ液中に蓄積されたインドールアセトアミド(IAM)量をHPLCによって定量することによって調べたところ,多くの形質転換体では有意なIAMの蓄積が検出された。
  • 田代 暢哉, 宮下 清貴, 松尾 良満
    1999 年 65 巻 2 号 p. 197-203
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    佐賀県上場地域の畑作地帯において,5か年にわたる現地調査の結果からpH 5.2以下の強酸性土壌においてもジャガイモそうか病の激しい発生が認められた。その罹病塊茎からは胞子鎖の形態が直∼波状の病原Streptomyces属菌(RF型菌)が高率に分離され,その形態がらせん状の病原Streptomyces属菌(S型菌)の分離率は低かった。この両型菌のpHに対する反応をin vitroで調べたところ,S型菌はpH 4.5以下では生育しなかったのに対し,RF型菌はpH 4.0まで生育し,菌体中のATP生成の最適pHはS型菌の6.0に対してRF型菌では5.0であった。さらに,RF型菌はpH 4.4の強酸性土壌でも強い病原力を示したことから,強酸性土壌で問題となっている本病の病原菌は胞子鎖が直∼波状のStreptomyces属菌(RF型菌)であることが判明し,我が国で強酸性土壌においてもジャガイモそうか病を引き起こす病原菌の存在が明らかとなった。
  • 我孫子 和雄, 萩原 廣
    1999 年 65 巻 2 号 p. 204-206
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In the autumn of 1997, a powdery mildew of Jew's marrow was found in Mie prefecture, Japan. White, powdery mycelia appeared on leaves, pods and shoots. Conidia with fibrosin bodies were ellipsoid to elongate-ellipsoid, 31.2-41.6×16.5-20.8μm and formed in chains. Conidiophores were erect on superficial mycelium, 67-125μm in length. Germ tubes from conidia were simple, not branched. No cleistothecium was observed. Based on the conidial stage, the fungus was identified as Oidium sp. of the Sphaerotheca fuliginea type.
  • 藤 晋一, 中前 均
    1999 年 65 巻 2 号 p. 207-210
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Japanese yam mosaic virus was detected using ELISA and RT-PCR assays. In ELISA, Japanese (Dioscorea japonica) and Chinese yams (D. opposita) infected with JYMV reacted positively, but white yam (D. alata) infected with JYMV, Chinese yam infected with CYNMV and virus-free yam did not react. ELISA values differed among JYMV isolates. In RT-PCR, the PCR product was detected from all yams infected with JYMV, but not from yam infected with CYNMV and virus-free yam. These results suggest serological diversity among JYMV isolates.
  • 田代 暢哉
    1999 年 65 巻 2 号 p. 211-215
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Using etiolated potato sproutings, the pathogenicity of potato scab-causing Streptomyces spp. was simply assessed. The cut sproutings (6-8cm long) were wrapped individually with a piece of tissue paper containing a concentrated spore suspension of the isolates with different pathogenicity. After keeping for 7 days at 25°C and high humidity under dark conditions, the sproutings were examined for necrotic and raised lesion formations. The pathogenicity of the isolates examined by this simple method was completely coincided with that assessed by the conventional soil inoculation method.
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