日本植物病理学会報
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Dothiorella sp.によるブドウ房枯病の症状
井上 幸次小野 俊朗那須 英夫
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2001 年 67 巻 3 号 p. 254-260

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抄録
ブドウに葉枯れ,枝枯れおよび房枯れ症状が発生したので,原因究明を行った.葉枯れ症状は主に短梢栽培で発生する.初め葉柄基部が褐変して,葉が萎れて垂れ下がるだけで病斑は拡大しない.枝枯れ症状は主に長梢栽培で発生し,2年生枝が発病するため,それから伸長した新梢が枯れる.果房の症状には,房枯れと果粒の乾腐がある.これらの症状を示した部位から高率に分離されたDothiorella sp.の菌株を葉柄基部,果軸および果粒に接種すると,自然発病の場合と同様の病徴が再現された.葉枯れ,枝枯れは枝枯病の症状であり,房枯れは房枯病の症状である.いずれの症状もDothiorella sp.によって起こることから,房枯病および枝枯病は同病害であることが明らかとなり,房枯病(cluster rot)と統一するように提案した.これらの症状はハウス栽培,特に加温栽培に多く,加温時期が早いほど発病が激しくなった.
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