日本植物病理学会報
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殺菌剤の散布回数半減をめざしたナシ病害防除体系の検討
梅本 清作大谷 徹矢内 浩二竹内 妙子
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2003 年 69 巻 2 号 p. 124-131

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抄録
ナシ病害防除のための薬剤散布回数を大幅に削減した技術を開発するために,1993∼2001年,千葉県において圃場試験を実施した.試験には,防除効果が高くて残効が長く,また薬害発生の少ない殺菌剤を選択した.そして,散布した殺菌剤の残効があると推定される期間は降雨があっても更なる殺菌剤の散布は行わず,残効が切れたと判断された後の最初の降雨の前日に次の散布を行った.また,黒星病の耕種的防除として落葉の処理や発病果叢基部の切除等も行った.その結果,試験開始年である1993年の「千葉県なし病害虫防除暦‘幸水’・‘豊水’」の中に記載されている,春から収穫直前までの殺菌剤の合計散布回数15回に比べて7回程度に半減した散布でも,黒星病など主要病害の実用的防除が可能であることが現地ナシ園で実証された.
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