日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
Verticillium dahliae, V. longisporumのブロッコリーおよびカリフラワーに対する病原性とキャベツバーティシリウム萎凋病に対するブロッコリー残渣のすき込み効果
剣持伊 佐男日戸 正敏酒井 宏
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 69 巻 3 号 p. 189-197

詳細
抄録

菌接種圃場と甚発生圃場を用いた試験により,Verticillium dahliaeおよびV. longisporumのブロッコリーとカリフラワーに対する病原性や品種抵抗性,キャベツバーティシリウム萎凋病に対するブロッコリー残渣のすき込み効果を検討した.V. longisporumはブロッコリーに対する病原性が品種によって異なり,抵抗性から罹病性までの品種間差異が大きかったが,カリフラワーにはいずれの品種に対しても強い病原性を示した.これに対し,V. dahliaeはブロッコリーに対する病原性が弱く,カリフラワーには弱∼中程度の病原性を有した.キャベツバーティシリウム萎凋病の甚発生圃場に栽培したブロッコリーの5品種からはV. longisporumのみが分離され,カリフラワーの2品種では同一株の異なる部位からV. longisporumV. dahliaeが分離された.ブロッコリー,カリフラワーなどのキャベツ類は,内部病徴(維管束の変色)が激しくても外部病徴としての萎凋症状を発現しなかった.キャベツ発病株の残渣に新鮮なブロッコリー残渣(600kg/a)を加えてすき込むことにより,翌年の発病を高めない程度の防除効果が得られた.以上のことから,バーティシリウム病の甚発生圃場であっても,ブロッコリーの抵抗性品種を用いた経済栽培が可能であり,かつ収穫後にその残渣をすき込むことにより,キャベツバーティシリウム萎凋病の防除効果が期待できる.

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top