性格心理学研究
Online ISSN : 2432-695X
Print ISSN : 1345-3629
自我漏洩感を体験する状況の構造
佐々木 淳丹野 義彦
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2003 年 11 巻 2 号 p. 99-109

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抄録

本研究は,自我漏洩感の客観的研究の基礎として,(1)健常者において自我漏洩感が発生する状況(自我漏洩状況)を記述し,(2)体験状況を整理することの2点を目的とする.研究1では,健常者を対象として,自我漏洩感の頻度と自由記述を求めた.その結果,体験率が50%以上の項目は,15項目中9項目あった.また多くの体験状況を得ることが出来た.研究2では探索的因子分析を用いて,自我漏洩状況の分類を試みた.その結果,「異性の好意状況」「以心伝心的に伝わる状況」「賞賛される状況」「共感される状況」「不潔状況」「赤面状況」「親しい人にお見通し状況」「平静を装う状況」「苦手な相手状況」の9つの状況因子を得た.さらに,これらの状況因子を,(1)自分から相手に伝わる内容(情報の属性),(2)相手に伝わることによって予期される結果,(3)相手に対して持っている感情の3側面から分類した.そして,臨床的な話題との関連から,自我漏洩感を「何も言わないのに自分の内面的な情報が伝わると感じ,ネガティブな結果が予期される体験」と定義した.

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© 2003 日本パーソナリティ心理学会
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