性格心理学研究
Online ISSN : 2432-695X
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自己性格特性概念の接近・回避に関するアクセシビリティが特性情報に対する自動的注意バイアスに及ぼす影響
林 幹也
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2003 年 11 巻 2 号 p. 110-119

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抄録

本研究は,自己性格特性概念の接近・回避に関連したアクセシビリティの高さが,その特性概念をあらわす性格特性語に対する自動的注意バイアスに及ぼす影響を検討したものである.実験1(N=27)では,性格特性語に対する目標評価判断課題を行うことによって,それぞれの性格特性概念のアクセシビリティの高さを測定し,さらに性格特性語に対する自動的注意バイアスを情動ストループテストの色命名反応時間によって測定した.その結果,比較的アクセシビリティの高い語と低い語は,中程度の語に比べて色命名反応時間が長く,仮説を支持しなかった.先行研究に照らし,この結果は,アクセシビリティが低いとみなされた語が持つ現実自己との関連性によるものであると解釈された.そこで実験2(N=24)では低アクセシビリティ語の現実自己適合度の評定を行わせた.以上の2つの結果によって,性格特性語に対する自動的注意バイアスは,性格特性概念のアクセシビリティだけではな<,その特性概念の現実自己との適合度によって決定されることが考察された.

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© 2003 日本パーソナリティ心理学会
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