抄録
本研究の目的は, 中学時の不登校傾向に対して, ストレッサーとソーシャルサポートが及ぼす影響を明らかにすることである。大学及び専門学校の学生444名に各自の中学時代のストレッサー, ソーシャルサポート, 不登校傾向についてレトロスペクティヴな調査を行った.その結果, 不登校傾向にあるものは強いストレスを受けており, 一般群に比べてソーシャルサポートを受けることができるという感覚に乏しかった. 次に, 不登校傾向生成モデルを作成した. このモデルでは, 「対友人ストレス」と「対教師ストレス」が不登校傾向に対して直接的に影響を及ぼしており, 「対親ストレス」と「学業ストレス」が, 不登校傾向に対して間接的に影響を及ぼしていた. ソーシャルサポートはストレスを緩和することにより, 不登校傾向に対して間接的な緩衝効果のはたらきをしていた.