1999 年 8 巻 1 号 p. 12-22
本研究では,一般青年に見られる被害妄想的心性を検討するため,被害妄想的心性を測定する尺度を新たに作成した.被験者は85名の大学生と176名の専門学校生(男子70名,女子190名,不明1名)であった.被害妄想的心性,他者意識,および自己意識からなる質問紙に回答を求めた.被害妄想的心性尺度の因子分析を行った結果,自己関連づけと猜疑心の2因子が抽出された.重回帰分析の結果では,猜疑心は私的自己意識との関連が示されたのに対し,自己関連づけは他者意識および公的自己意識との関連が示された.これらの結果から,被害妄想的心性は自己関連づけと猜疑心の質的に異なる2側面からとらえられることが示された.また,自己関連づけについては,他者に対する関心のあらわれであることが示唆された.