心身医学
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大学生のストレス過程に及ぼすタイプA行動パターンの影響
高倉 実
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1995 年 35 巻 5 号 p. 399-406

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抄録

大学生のストレス過程に対するタイプA構成要素の予測性を検討した。主成分分析により, タイプAの構成要素として4因子を抽出した。第1因子は攻撃性因子, 第2因子は熱中性因子, 第3因子は時間的切迫感因子と解釈したが, 第4因子は明確な意味づけが困難で, 内的整合性がみられなかったために分析から除外した。ストレス反応を予測する重回帰分析の結果, 心理的ストレス反応については, 男子の場合, 日常苛立ち事と時間的切迫感因子が正の関連を示し, 女子の場合, 日常苛立ち事と攻撃性因子が正の関連を示したのに対して, 熱中性因子は負の関連を示した。身体的ストレス反応については, 男女とも日常苛立ち事, 時間的切迫感因子および攻撃性因子が正の関連を示した。いずれの重回帰モデルにおいても, 日常苛立ち事が強い関連性を示した。日常苛立ち事を予測する重回帰分析の結果, 男女とも攻撃性因子と時間的切迫感因子が正の関連を示した。本研究により, ストレス反応の予測には日常苛立ち事が最も有効で, 日常苛立ち事の予測には攻撃性と時間的切迫感が有効であることが示唆された。また, 女子にのみ熱中性が心理的ストレス反応を抑制することが推測された。

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© 1995 一般社団法人 日本心身医学会
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