1996 年 36 巻 2 号 p. 115-121
結婚後に摂食障害を発症した26例は, 結婚前に摂食障害を発症した14例や, 28歳以上の結婚歴のない独身の摂食障害患者22例に比して初発年齢が高く, 罹病期間が短い傾向を示した。臨床像においては3群とも過食や嘔吐を示す患者が多く, 同じ傾向を示した。結婚前発症群の4例が結婚または離婚後に摂食行動の悪化を示したが, 他は変わらなかった。摂食障害を発症した状況や契機について, 結婚後発症群は夫婦関係や結婚生活の危機が過半数を占めたのに比し, 結婚前発症群や独身群においてはやせるためのダイエットが過半数を占めた。これらの結果に若干の考察を加えた。