心身医学
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うつ病入院患者の退院後機能レベルに影響を与える因子の検討
糸川 秀彰小野 善郎吉益 文夫
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1997 年 37 巻 5 号 p. 355-361

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抄録
一般病棟に入院した比較的軽症のうつ病患者114名の患者背景や入院時の社会環境因子, 入院期間, 退院時転帰, 退院1年後の機能レベルを調査し, 退院後の機能レベルに影響を与える因子を検討した。退院時転帰は大半の例で良好であったが, 1年後の機能レベルでは, 不良例が全体の約3分の1に認められた。退院後の機能レベルからみた予後に関しては, 過去にうつ病エピソードのあるものに不良例が多く認められたが, 入院時の社会環境因子の影響とは有意な関連は見出しえなかった。長期入院は必ずしも不良な予後と関連せず, 社会環境因子の関与の少ない高齢患者では, 1年後の機能レベルの良好な患者の入院期間は不良群よりも有意に長かった。
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© 1997 一般社団法人 日本心身医学会
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