1999 年 39 巻 3 号 p. 243-249
歯科領域において, 心身医学的対応を要する代表的な例には, 舌痛症, 顎関節症, 慢性疼痛, ボリサージャリー, 口臭症(自己臭症), 歯科治療恐怖症・失神発作, 小児期における歯科治疼痛と心理の問題, 心疼痛内科・精神科とのリエソンコンサルテーション, 奇妙な訴えや問題行動を起こす場合がある分裂病などの精神病患者への歯科的対応, 義歯不適応, 咀嚼指導による顎関節症の改善と全人的健康状態の向上, などがあげられる.21世紀に向けての提言は, 心身医学的問題に対応できる歯科医師が育成されることである.そして, 現代人の生活習慣病といえるあら噛みの咀嚼習慣による心身面の不健康状態が, 歯科医痕を通して改善されることである。