心身医学
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転換性障害として治療されていた抗リン脂質抗体症候群によるめまいの1例
森下 克也藤岡 耕太郎岡本 章寛永田 勝太郎
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1999 年 39 巻 8 号 p. 611-616

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抄録

転換性障害として治療されていためまいが, 抗リン脂質抗体症候群に伴う脳血管障害によると考えられた症例を経験した.患者は41歳の女性.主訴はめまい.他院で仕事の多忙によるストレスをその原因として, 転換性障害, 大うつ病性障害単一型(軽症)と診断されていた.来院時, 左舌下神経麻痺, 左顔面神経麻痺を認め, 頭部MRIで梗塞巣, MR angiographyで内頸動脈の壁の不整, 血液検査でaCLβ_2GPI抗体陽性, APTT延長を認めたことから抗リン脂質抗体症候群と診断した.面接と心理テストから転換性障害は否定的であった.めまいの原因は, MRIの所見から視床の中枢前庭路の血流障害が疑われた.

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© 1999 一般社団法人 日本心身医学会
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