2000 年 40 巻 6 号 p. 439-446
われわれは尿を対象とし, 17-OHCSを摩耗関連物質と捉え, 17-KS-Sを修復関連物質と位置づけ, ストレスに対する生体の適応状態把握の手法を報告してきた.生活習慣の中で重要な位置を占める食事・栄養と17-KS-Sとの関わりについては, 1)日常的な生活の中にあって, 食事の過不足, 朝食抜きはそれぞれ17-KS-Sの低値, 低値の持続をもたらし, ストレス対応(適応能)の低下が示唆され, また, 2)入院患者において栄養補給ならびに気分の高揚, 生きる意欲に伴う食欲増進は, 17-KS-Sの上昇をもたらした.あらゆる刺激は脳からあるいは脳を通して伝達されるが, ヒトの心と体と接点にある17-KS-Sの測定意義はきわめて大である.ここではcureよりcareに至るヒトストレス対応における食事・栄養管理の重要性と17-KS-Sとの関わりが示された.