心身医学
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治療拒否をする神経性食欲不振症の臨床倫理的課題 : パネルディスカッション 心身医学研究・心身医療における医の倫理(2003年 第44回日本心身医学総会 沖縄)
松林 直椋田 稔朗阪中 明人宮川 眞一原 健河合 雅代白浜 雅司
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2004 年 44 巻 12 号 p. 895-898

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抄録

心療内科の日常臨床場面では, 倫理的な問題に遭遇することはめずらしくない. 従来, 医療者, 患者, 患者の家族が個々の倫理観に従ってこのような臨床倫理的問題に対応してきたように思われる. しかし, 個人の倫理観だけでは解決しがたい問題も多い. 本稿では心療内科で遭遇した治療を拒否する神経性食欲不振症の1例を取り上げ, Jonsenら1)の提唱している臨床倫理の4分割法をもとに, 臨床倫理的問題と解決していく手順について整理し, 若干の考察を付け加えたい. 事例 患者:A子, 18歳, 女性. 現病歴:14歳時にふつくらした顔つきが気になりはじめ, 食事抜きのダイエットを開始した. 約半年で35kgあつた体重は25kgとなり, 両親に連れられ某総合病院精神科を受診し, 神経性食欲不振症と診断された. 行動療法により約半年間の入院で体重は元に復したが, 体型に対するこだわりは依然として存在し, 退院後再び体重が減少した. その間も某総合病院精神科に通院していたが, 再診 約束を破ることが多く, 受診は不定期だったようである.

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© 2004 一般社団法人 日本心身医学会
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