心身医学
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精神療法における倫理的問題 : パネルディスカッション 心身医学研究・心身医療における医の倫理(2003年 第44回日本心身医学総会 沖縄)
尾久 裕紀
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2004 年 44 巻 12 号 p. 899-901

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抄録

心身医療で用いられる広義の精神療法, すなわち自律訓練法, 筋弛緩法, バイオフィードバック, カウンセリング, 精神分析療法, 行動療法における倫理的問題について述べる. 倫理的に検討すべき領域は多々あるが, 今回は, (1)インフォームド、コンセント, (2)コンフィデンシャリティー(秘密を守ること), (3)治療者と患者の性的接触について概観する. インフォームド、コンセント インフォームドコンセントが成立するには, (1)同意能力, (2)十分な情報, (3)患者の自発性という3つの条件が必要である. このうち病気によつて同意能力がない場合には, 保護者の代理決定が必要である. 児童、青年期の同意能力については次のように考える. 医療行為における同意能力は15歳ないし, 18歳以上の理解力, 判断力が必要といわれている. したがつて, それ以下の年齢では保護者の代理決定が必要となる. ただしその場合でも, 当該患者にも十分な説明が必要であることはいうまでもない. 精神療法におけるインフォームド、コンセ ントでは, 単にその場で情報を提供し, 同意を得るといういわゆる「イベントモデル」はなじまない.

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© 2004 一般社団法人 日本心身医学会
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