抄録
摂食障害患者の心理的特徴を調査し, 治療上のアプローチについて検討した.入院中の摂食障害患者50名に対してロールシャッハ・テスト(包括システム)を施行し, その結果を240名の健常な日本人と比較した.摂食障害患者は健常群と比べて, 抑うつ的であり, 感情の統制力が低く, 肯定的な人間関係をもちにくく, 独特な認知をすることが示された.摂食障害患者の治療においては, 抑うつに注意を払い, 一般的なものの見方を促す認知の修正をはかることが大切であると考えられた.また, 個人療法に加えて他者と肯定的なつながりを体験する集団療法を行うことが望ましいと考えられた.