心身医学
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小児思春期の過敏性腸症候群の臨床(シンポジウム:思春期の心身症と心身医学的発想,2008年,第49回日本心身医学会総会(札幌))
島田 章
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2009 年 49 巻 3 号 p. 207-214

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抄録
小児思春期において慢性腹痛の原因となる最も重要な疾患は過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome; IBS)である.しかしながら,成人のIBSに比して小児思春期IBSに関する臨床的研究はまだ十分なものとはいいがたい.今回"発達と分化"の視点から,小児思春期IBSの臨床について論じた.1)小児思春期においてはIBSの症候学は多様であり,年齢によって機能性消化管障害の呼び名は異なっている.2)治療は排便の生理学を踏まえたものであるべきであり,とりわけ排便機能において重要な役割を示す胃結腸反射についての理解が求められる.3)「発達」についての評価は,IBS患者の理解・治療において欠かすことのできない要素となっている.4)小児思春期におけるROME III基準は,臨床の現実を十分に反映しているとはいいがたいところがある.このような現実を勘案しながら,小児思春期IBSの診断・治療の具体的ガイドラインの確立が望まれる.
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© 2009 一般社団法人 日本心身医学会
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