2010 年 50 巻 12 号 p. 1133-1137
慢性疼痛における破局化とは痛みに対して注意がとらわれることや無力感,そして痛みの脅威を過大評価することで特徴づけられる認知過程である.それは痛みの難治化を説明するfear-avoidance modelの一部を構成するものであり,痛みの強さや障害,予後に強く関係しているため,慢性疼痛の心身医学的治療においては看過できないものである.破局化の評価法には疼痛破局的思考尺度(PCS)があり,反芻,無力感,拡大視の3つの下位尺度がある.痛みにとらわれた考えや不安をそのまま無批判に体験するマインドフルネスが破局化と痛みの関与を和らげるといわれており,治療としての有用性が示唆されている.