国民の愁訴として腰痛は最も多い症状であり,特に慢性腰痛の患者は精神医学的問題を合併していることが少なくない.そこで福島県立医科大学では,慢性腰痛に対して整形外科とリエゾン治療を行っている.腰痛の治療成績を改善するには,腰痛を「生物・心理・社会的疼痛症候群」という概念でとらえる必要がある.難治な慢性腰痛では身体表現性障害と診断されることが少なくない.慢性腰痛を一症状とする身体表現性障害の各疾患に有効性が確立した薬物はまだない.慢性腰痛に合併するパーソナリティ障害が治療を困難にさせる.慢性腰痛の治療においては,整形外科と精神科の連携が重要である.