抄録
われわれは日々同じ失敗を繰り返すことがある.われわれはその時いつも同じ不快な感情を感じている.交流分析において,その一連の流れは「ゲーム」と呼ばれる.ゲームの特徴は以下のとおりである.(1)ゲームには隠された動機がある.(2)ゲームは繰り返される.(3)ゲームではAの自我状態が働いていない.(4)ゲームは否定的なストロークの交換の場であり,裏面交流の連続である.(5)ゲームには当惑と混乱を伴う.(6)ゲームは基本的構えの証明として行われる.(7)ゲームの結末には不快感を残す.ゲームの理論は実際臨床に有用である.心療内科における2症例をゲームの観点から解説した.忘れてはならないのは,治療者がゲームをしないことであり,患者のゲームの誘いにのらないことである.結論として,日常生活でよく起こるゲームに気づき,気づいたところでやめることが重要である.