抄録
糖尿病患者の睡眠の質・心理ストレスと糖尿病コントロール状態の関連を知るために,PSQ-I(Pittsburgh Sleep Quality Index)およびPHQ-9(Patient Health Questionnaire)を用い,HbA_<1c>の関連性について多施設共同研究を行った.一部の症例にオキシメータによる簡易睡眠テストを行い,睡眠呼吸障害の有無を調べた.PSQ-Iでは全体の35%に睡眠の質の低下を認め,PHQ-9では全体の約60%が軽症以上のうつ状態であると判定された.睡眠の質の低下とうつ状態には関連性を認め,HbA_<1c>高値群でより顕著であった.睡眠テストでは,27%に中等度以上の睡眠時無呼吸症候群の合併が疑われ,夜間睡眠指標とインスリン抵抗性指標(HOMA-IR)に相関関係を認めた.糖尿病患者の睡眠の質は血糖コントロール不良群ほど不良であることが少なくなく,その機序として,うつ状態や睡眠呼吸障害が潜在している可能性が少なくないことが示唆された.