生活習慣病の一つである2型糖尿病では,食事や運動といった薬物以外の自己管理に委ねる割合が高い.自己管理の成否には,患者の心理社会的要因が少なからず影響を及ぼす.したがって,心身両面から患者を理解し治療していくという心身医療(心身医学的アプローチ)は,糖尿病の臨床において大きな効果を発揮する.本稿では,まず2型糖尿病患者に対する心身医療について述べ,次に2型糖尿病患者の血糖コントロールに影響を及ぼす心理・社会的因子を縦断的に調査した自験例を紹介し,最後に通常の内科的治療では血糖コントロールが不良であった患者が心身医療によって良好な血糖コントロールとなり維持している症例を提示する.