抄録
便秘をきたす機能性腸障害である過敏性腸症候群便秘型(IBS-C)と機能性便秘(FC)の臨床像を比較した.対象と方法:当院心療内科を初診した1,309名に対して,RomeIII診断基準に基づいて独自に作成した腹部症状を問う問診票とSDSの記入を依頼した.結果:IBS-Cは95名(男性35名,女性60名,年齢35.1±18.7歳),FCは63名(男性18名,女性45名,年齢46.7±20.9歳)とFCのほうが有意に(p<0.05)高年齢で下剤服用者が多かった(p<0.001).腹痛頻度,排便回数はFCのほうが少なく(p<0.05),便形状に差はなかった.排便時のいきみ,残便感,排便困難感,用手排便促進の頻度には差がなかった.来院動機別にみるとIBS-Cでは腹部症状を主訴とする者がFCより多かった(p<0.01).SDSは軽度上昇していたが両群で差がなく,排便回数が少ない者,硬便の者のほうが高値だった.結語:IBS-CとFCの臨床像は異なるものの便排出困難に関する症状は類似していた.抑うつは診断名よりも腹部症状の強さと相関していた.