心身医学
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摂食障害の治療 : 共同治療をめざして(摂食障害の治療の進歩,2012年,第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(鹿児島))
松林 直宮田 典幸柴田 達徳原 健河合 雅代
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2013 年 53 巻 9 号 p. 820-825

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抄録

摂食障害の診断基準は「精神障害の診断と統計の手引き(DSM)」を中心に少しずつ改訂されているものの,根幹は『思春期やせ症の謎』でBruch H(1978)が指摘したものと大きく変わることはない.体型へのこだわり,やせ希求とさまざまな栄養問題,家族,特に母親とのあつれき,社会からの孤立と並行して生じる自尊心の低下,さらに治ることへの大きな不安感などがある.筆者は治療は原則外来で行い,身体的な問題を生じた場合,あるいは食事練習をしたいなど,患者自身が希望した場合に入院治療を行っている.「入院時に約束した食事を食べることができるという自信を患者が手にし,患者に食事を任せることができるという安心感を家族がもつことができる」ことを入院治療目標としている.栄養は身体だけでなく思考の源であることを伝え,抱えているあるいは表出した行動・感情・考え方を適宜取り上げ,関係性に留意しながら患者と共同治療をしている.

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© 2013 一般社団法人 日本心身医学会
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