2014 年 54 巻 11 号 p. 1026-1033
脳脊髄液減少症と心身症には3つのかかわりがある.第一に心身症と診断されている脳脊髄液減少症患者が少なくないこと,第二に脳脊髄液減少症の症状に心身症的な症状が含まれていること,第三に脳脊髄液減少症の治療には心身症的な治療が必要であること,である.脳脊髄液減少症は主として脳脊髄液が漏出して脳脊髄液が減少することにより頭痛,めまい,視覚障害,記憶力低下,倦怠など多彩な症状が持続する疾患である.原因が不明の特発性と外傷性があるが,心身症的症状を呈するのは外傷性に多い.診断は体位により変化する多彩な症状とMRIや放射性同位元素(RI)脳槽シンチグラフィー・CTミエログラフィーなどの画像診断によってなされる.治療は減少した脳脊髄液量を増やすことであるが,漏れを止めるためには自家血を脊髄硬膜外に注入するブラッドパッチ治療が効果的である.