抄録
職域でメンタルヘルス不調者が増えている.背景には急激なIT化など社会要因変化や価値観など個人要因変化が推察されている.就労状況の急激な変化の中,職域の若者においてもうつ病や適応障害を中心にさまざまなメンタルヘルス不調がみられる.主治医としては投薬加療に加え,その生育環境や就労環境も考慮に入れた対応が求められる.職域はこのようなメンタルヘルス不調に対し,疾病性ではなく事例性(なぜ普段のように継続して働けないのか)の観点から対応している.主治医は職域の判断基準が医療の判断基準と異なることを理解し,職域の対応基準となっているさまざまな国の指針や手引きを知って連携することが求められる.