心身医学
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SSRIと認知行動療法の併用療法が奏効した強迫性障害を主たる病態とした特定不能の摂食障害の1例
柴山 修堀江 武樋口 裕二大谷 真石澤 哲郎榧野 真美瀧本 禎之吉内 一浩
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2015 年 55 巻 5 号 p. 432-438

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抄録
症例は19歳男性.X-5年激しい腹痛で救急受診し浣腸で軽快以降,排便へのこだわりが強まり,多数の下剤を使用するようになった.X-2年部活動を辞めてからは食抜きをするようになり,BMI18.1から体重減少傾向.X-1年4月大学入学後一人暮らしを始めさらに減少.近医内科より摂食障害として紹介され,X年5月当科外来初診となった(BMI14.1).肥満恐怖やbody imageの障害はなく,特定不能の摂食障害と診断.X+1年4月より語学留学中,排便のリズムが崩れ食抜きが強まり,6月末BMI12-1となり,帰国し当科入院.排便への過剰なこだわりから生活に大きな支障をきたしている認識あり,強迫性障害と診断.曝露反応妨害法とfluvoxamine内服を開始したところ強迫観念は軽減し完食を続け,退院.退院後は休学のうえ実家で生活し,徐々に儀式を減らし,BMI18.5を超え,X+2年4月から復学.一人暮らしに戻っても支障なく経過している.非典型的な摂食障害例で強迫傾向が強く認められる場合は強迫性障害を積極的に疑うことも重要である.
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© 2015 一般社団法人 日本心身医学会
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