2016 年 56 巻 10 号 p. 1002-1005
背景 : 2型糖尿病患者に対する栄養療法は治療の根幹である. しかし, その遵守は容易ではない. 診断時のみならず, 必要に応じて, 栄養士は栄養指導に関与している. 米国糖尿病学会では, 理想的な炭水化物, たんぱく質, 脂肪の比率に関しては一定の見解はないものの, 個々にあわせた栄養療法の選択が重んじられている. 一方, 患者の中にある矛盾を取り上げ, 矛盾を解決するよう援助する動機づけ面接が糖尿病治療に応用されつつある. 方法と結果 : 2014年1~8月にかけて筆頭著者の外来を通院中の患者でHbA1c≧7%の血糖コントロール不良な58名の患者 (男性32名, 女性26名, 年齢中央値65歳) を対象に動機づけ面接と栄養相談を行った. 栄養相談は患者の希望に応じて複数回行った. 半数の患者はHbA1c 0.5%以上改善し, 1年間改善を維持した. HbA1cの改善は, 栄養相談回数と相関する傾向がみられた (p=0.0822). 結語 : 栄養相談と動機づけ面接は, 血糖コントロール不良な患者に有効と思われる.