心身医学
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ワークショップ/心身医療における森田療法の臨床実践
森田療法への導入の実際
伊藤 克人
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2016 年 56 巻 4 号 p. 341-346

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抄録
森田療法は1920年代に森田正馬によって確立された精神療法である. 森田がこのような治療法を生み出した背景には, 森田自身の実体験がある. それは大学の進級試験を前にして父親からの送金が遅れたために父親に対する怒りや反感の感情が生まれたが, それを放っておいて勉強に打ち込んだ結果, 好成績をとることができた, というものである. このような体験から「感情の法則」や「精神交互作用」, 「思想の矛盾」というような, 森田療法の鍵概念が生まれた. さて, 悩む人を前にして森田療法へ導入する際の「はじめの一言」は「もしも, 治したいと思っている症状がなければ, あなたはどのようなことをしたいですか?」という問いかけである. それによって「生の欲望」の存在の気づきを促す. そして現在の悩みがどのようにして形成されたかを, 森田療法の鍵概念を使いながら説明して, これから始まる森田療法という治療の方向を示すのである.
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© 2016 一般社団法人 日本心身医学会
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