心身医学
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原著
摂食障害の診断について
—DSM-Ⅳ診断基準とDSM-5診断基準の比較—
中井 義勝任 和子
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2016 年 56 巻 4 号 p. 361-368

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抄録

食行動異常のため受診した患者を対象に, DSM-Ⅳ診断基準とDSM-5診断基準を用いて摂食障害の診断を行い, 以下の点が明らかとなった. DSM-Ⅳ診断基準で, 摂食障害全体の37.1%を占めた特定不能の摂食障害は, DSM-5診断基準では, 8.4%と著しく減少した. DSM-5の過食性障害 (BED) の診断基準を満たす症例が251例の摂食障害患者中70例 (27.9%) 存在した. BEDは神経性過食症非排出型 (BN-NP) との鑑別診断が容易でない. 非排出行動の判定基準を明確にし, 判定方法を確立する必要がある. DSM-5ではbinge eatingを過食と訳しているが, 患者の訴える「過食」は, さまざまな食行動を含み, BEDの診断基準に合致しない場合があるので, 慎重な問診を必要とする. DSM-5で使用されているBEDの訳「過食性障害」と, binge eatingの訳「過食」の問題点について考察した.

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© 2016 一般社団法人 日本心身医学会
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