2017 年 57 巻 5 号 p. 436-440
緩和ケア領域では, 当然のように行われていた薬物療法の有効性が, ランダム化比較試験で否定されることも多い. 心身医学は, 患者個々に適した医療を目指すが, その際にも, 患者・家族および医療者が納得するだけのエビデンスが必要である. RCT以外の報告では, 治療効果が過小・過大評価されるリスクがあり, 客観性が高いとはいえない. このため, 心身医学領域でも, 多施設共同RCTを行っていく必要がある. 本稿では, 筆者が受けた心身医学教育の紹介を行い, 経験した痛みの臨床研究, 他科研修を経験して感じた心身医学の課題を挙げ, 多施設共同研究にいかにつなげるかについて検討したい.