心身医学
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シンポジウム特集/ストレス関連疾患としての摂食障害
摂食障害と心理社会的因子
大谷 真
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2017 年 57 巻 8 号 p. 812-816

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抄録

摂食障害とは, 単なる食欲や食行動の異常ではなく, 体重に対する過度のこだわりや自己評価への体重・体型の過剰な影響といった心理的要因に基づく食行動の重篤な障害である. 摂食障害は, 著明なやせを維持する神経性やせ症と正常体重内にとどまる神経性過食症などに分類される. 神経性やせ症に関しては, 心理社会的因子の中でも, 周囲からどのようにみられているのかという不安が, 症状と関連しているとの報告があり, 神経性過食症の場合にも, 過食・嘔吐が, 低い陽性感情, 高い陰性感情, 怒り/敵意, ストレスを伴った日に起きやすいという報告がある. このように, 症状や経過に心理社会的因子を含むストレスが関連していることを示す報告が多く, 摂食障害がストレス関連疾患であることは疑いようもない. 本稿では, われわれの施設で治療を行った摂食障害患者の心理社会的因子に関するデータの紹介も行い, 摂食障害とストレスの関係について概観する.

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© 2017 一般社団法人 日本心身医学会
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