2018 年 58 巻 1 号 p. 30-36
呼吸器心身症である喘息の診療は, 個々の遺伝的要因, 環境的要因によりその分子病態は多様化し, これを反映した分類 「エンドタイプ」 とこれに基づいた治療戦略を立てる 「個別化医療」 へと進んでいる. 個別化医療にとって心理社会的背景, 中でもストレスレジリエンス (=ストレス耐性, 逆境力など) は, 治療的観点から非常に重要である. 心的外傷後ストレス障害の病態形成に関与する報告, 脳のレジリエンス関連部位と免疫応答の関与を示す報告, レジリエンス関連分子と喘息病態との関連を示唆する報告などがあり, その分子病態が明らかにされつつある. 本稿ではレジリエンスと喘息の病態形成, これからの治療などを考察したい.