心身医学
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特集/呼吸器心身医学の新展開
心身症としての気管支喘息の現状と今後の課題
吉原 一文
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2018 年 58 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

心身医学療法が臨床の現場に普及するには, 気管支喘息 (心身症) の病態を解明し, 心身医学的な治療が効果的であることの科学的根拠を示す必要がある. 病態を解明する方法には, 動物実験や脳画像研究がある. 幼少期にストレスを受けたマウスは, 成長後に発症した気管支喘息において気道炎症がより増悪し, 気道過敏性がより亢進していた. 脳画像研究では, 気管支喘息患者がアレルゲンに曝露された後のストレス刺激によって前帯状皮質や島皮質の活動が変化し, その変化量は喀痰中の好酸球や1秒量の変化量に関連していたことが報告されている. また, 私たちは前帯状皮質や島皮質が情動を伴った自律神経活動に関連していたことを報告した. これらの前帯状皮質や島皮質の脳活動は, 心理療法に関連する脳領域としても報告されている.

今後は, 気管支喘息 (心身症) に対する効果的な治療法や費用対効果に関する科学的根拠を示していくことが課題である.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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