近年, 肺がんでは予後が改善している一方で, 病と向き合い, 苦悩する機会が増えている側面もある. 非小細胞肺がん患者において全人的ケアである緩和ケアが予後を延長し, 悪い知らせを伝える際の医師のコミュニケーショントレーニングががん患者アウトカムを改善することが報告されている. 肺がん患者の症状では, うつや自殺の頻度が高く, 呼吸困難が不安と関連することが報告され, がんの疼痛については, 筋筋膜性疼痛症候群, ケミカルコーピング, アレキシサイミアといった心身医学に関連するトピックが注目されつつある. このような背景から肺がん診療において心身医学が果たす役割は大きいと考えられる.