心身医学
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企画シンポジウム特集/スポーツ心理学と心身医学の協働によるブレークスルーの探索
わが国のスポーツ心理学の現状と課題
土屋 裕睦
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2018 年 58 巻 2 号 p. 159-165

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抄録

本稿の目的は, わが国におけるスポーツ心理学の成り立ち, 研究領域の特徴から現状を整理し, 今後の課題を明確化することである. はじめに, スポーツ心理学の成り立ちに関して, 日本スポーツ心理学会 (JSSP) の発足は1973年であるが, 日本体育学会が1950年の設立以来, すでに体育心理学に関係する研究のプラットフォームになっており, 少なくとも65年以上の歴史があると指摘した. 次に, JSSP編によるスポーツ心理学事典などの目次をもとに, 研究領域を整理すると, 運動学習と制御, スポーツ社会心理研究 (スポーツ参加の動機づけ研究を含む), 健康スポーツの心理, 競技スポーツの心理 (メンタルトレーニングと臨床スポーツ心理を含む) の4領域が中心的な領域であると考えられた. 特に, JSSPによる2000年の 「スポーツメンタルトレーニング指導士」 資格認定が開始されて以降, 競技スポーツ分野への関心が高く, JSSP大会では, さまざまなシンポジウムが開催されている. 一方, イップスに代表される心因性の動作失調への対処などにおいて解決すべき課題も多く, 今後は心身医学との協働によるブレイクスルーが期待されている.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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