心身医学
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漢方による女性の健康管理
後山 尚久
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2018 年 58 巻 5 号 p. 390-396

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抄録

人の心は身体であり, また身体は心である. それらは一つのもので, お互い影響を及ぼしあって疾病を形成する. 漢方は 「心身一如」 を診療の軸とする. わが国では東西融合医療により, さらに “治せる医療” としての現代医療のひとつの型を形成している. 漢方の理論のひとつである五臓六腑論には 「肝 : 魂」, 「肺 : 魄」, 「脾 : 意, 思」, 「腎 : 志」, 「心 : 神」 というスピリチュアリティの要素も含まれている. 古くから漢方は, 心と身体, また社会的な活動や人との関係性, さらにはスピリチュアルな一面も含めて多面的に病者を治療してきた. 心身医療においてbio-psycho-socio-eco-ethical medical modelが提唱されているが, これは古くから漢方で扱ってきたモデルである.

漢方はこころとからだの両面からアプローチするが, 心身医療もまたこころの存在を感じて身体の治療に取り組むものである. 漢方と心身医療のハイブリッドの実践は女性の健康管理において意義あるものと考える.

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© 2018 一般社団法人 日本心身医学会
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